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「白竜」
「…A、シュウ」
扉の先には、パタパタとはためくフィフスの旗。それと寒色ベースのスタジアム、赤いボール。そして、白竜が立っていた。
「その調子じゃ、ずっとボール蹴ってたんでしょ?明日もあの鬼のようなメニューあるってのに、その精神には感服だよ」
「俺は究極を」
「あ、もうそれ大丈夫です。…苛立ってるね」
フィールドは海から運ばれてきた冷たい潮風が体を刺すように吹きさらしになっている。白竜は此方を見る事なく黙々とボールを蹴り続けていたが、私の言葉に足を止めた。
「試合見てたよ。あれが、触媒だって?」
期待外れ。シュウは歌うようにそう言った。同意見、というふうに白竜が口を開く。
「シュウ、お前はどう見た」
「全然ダメだね。あの程度で革命なんて、馬鹿々しい」
「必殺技も使いこなせてなかったしね。…勿論、剣城も」
私の言葉に、白竜は目を細めて海を見やった。
私の中であの試合での雷門は、“態々警戒するまでもない”といった印象だった。連携には目を見張るものがあるが、個々の実力があまりに足りない。ゴッドエデンに連れてくる必要なんてなかった。
…剣城がここにくる必要だってなかった。
「…剣城を倒すことは俺の悲願であり、目的だ。それなのに帰ってきたアイツは、倒すのにも値しない存在だった。…最悪だ」
「…松風天馬」
「なに?」
ポツリ、とシュウが呟いた。突然のその名前に、白竜が眉を下げ怪訝な顔をする。
「松風天馬が入部したことが全ての始まりだ。剣城がシードを抜けたのも、雷門がフィフスに反抗してきたのもね。それにアイツは自分の力で化身を発動させている。きっと、もっと強い。アイツにはまだ、秘密がある」
感情のなかったシュウの目に光が灯り、興奮したように早く口になる。見たことの無い姿に少し驚いた。
「…兎にも角にも、明日雷門と試合してみよう。見てるだけじゃよく分かんないし」
「え、A出るつもりなの?君エンシャントダークじゃないんだから引っ込んでてよ」
「辛辣」
___
え、本当に私出られないんですかね?
うん。
……
___
「あー!私なんだか急にマネージャー業がしたくなってきたな!
うーんでも、明日アンリミテッドシャイニングは個人練だからなー!何処かに試合するチームないかなー!」
「見苦しいよ」
「え、いいんですかキャプテン!じゃあ同行しますね!」
「巫山戯んな!!」
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作者名:わらびもち | 作成日時:2020年8月18日 23時