【中島敦】愛しい君の過去へ【文スト】

拾捌〜夢じゃなかった！〜 ページ19

今度こそ、目覚めた時は、ガヤガヤとした道路だった。









…やっと起きたか、私。



長かったーと背伸びをしようとしたが、その前に座っていたようだったから立ち上がった。





何、してたんだったっけ？





とぼやけた思考で考え、そうだ、誰かにぶつかって。






「あぁ、すみません。よそみしててっ_____っ！？」








急に何かに抱きしめられ、息が止まる。


男の子だ。ぶつかった、男の子。





ただただ、ぎゅうっ、と抱きしめられる。



白い髪の男の子。




あれ？敦みたい？









なんてぼんやり思ってたら、ぼそぼそと喋り出した。



敦「A………Aだよね！！！よかった、よかった…！ほんとに、」





え？



私は突然のことに驚いておどおどとしていると、

彼は急に体を離し、顔を見せた。








………あぁ、彼だ。夢の中の、敦。








「…敦」


敦「"久しぶり"………！A！」





うん、久しぶり…………………。





………。





ん？


久しぶり？


まてよ、あれは夢の中の話ではなかったか？



なぜ彼は今大きくなって、目の前にいる？



そして今まで夢の中でしか会ったことなかったのに、なぜ、久しぶりなのだ？






んんん？






「え、待って、どういう…」


敦「ずっと、Aのことなんて、忘れたことなかった！！」



話したいことが沢山あるんだ！きて！



と、夢の中では、私が手を引いてたのに、今度は彼が私を引っ張る。






なにが？夢じゃないの？




こんがらがっていく私の脳は、彼には追いつかないらしい。


よく分からぬまま、彼についていく。









よく分からないけど、まぁ、いっか？いいのかな？





私は苦笑いしながら、彼の背中を見つめていた。

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