【中島敦】愛しい君の過去へ【文スト】 (ページ18)

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拾漆～たしかにそれは、最強の友達～ページ18

また、目覚めた。

今度こそ、夢から覚めてるのか？と周りを見たら、そうじゃなかった。

まだ、続いている。

敦「やめて、やめて……！！！」

敦？

私は重い体を起き上がらせると、そこは地獄だった。

あたり一面、血の海。

その元凶は、敦を殺そうとしている、花。

……なんだ？なにが、起きている？

花「ははは、は…だって、だって！」

敦「やめて！！！」

分からないけど、彼女じゃない。

彼女の背後には、悪魔のようなものがいた。

…いや、悪魔だ。

なんで？

知らないが、狂ってる。

敦が、危ない！

私は無条件反射で立ち上がり、花ちゃんを抱きしめた。

何も音はない。

真空状態の箱の中で、立っているような感覚。

ただ、お腹からドロドロと流れるように熱い何かが垂れる気がする。

痛い。それどころじゃない、息が出来ない。

花「ぇ…ちが、」

その声を聞いた途端、私は力がなくなって彼女にもたれる。

これは、痛いな。

これで銃、なんて、たまったもんじゃないわ。

ぼやける視界の中で、彼女の顔ははっきりと見えた。

花「………ただ、Aちゃんを守りたいと思っただけなのに……っ」

絶望の中に流れる涙。

彼女が、たしかに意識を取り戻したことがわかった。

最期の力でふにゃり、と笑ってみせれば、私はそのまま、睡魔に任せて目を閉じた。

花「知らない、こんなの…」

そういう彼女には、今目の前にいる彼女が、何故血を流しているのかわからない。

なんで寝てるのかも分からない。

ただ、彼女が、最後に、死んだように倒れているのが見えた時、彼女は聞いた。

『君は、どうしたい？』

私は、こう答えた。

花「友達が欲しい」

ただ、そう答えただけだったのだ。