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第四十二話 生きて欲しい ページ43

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「……Aは人の魅力を見抜く目は優れていても、自分の魅力には全然気づいていないよね」



長い沈黙の後、顔を上げてそう云った治くんを私は驚いたように振り返って見つめる。


その瞳はどこまでも優しさに満ちていて、とても愛しいものを見るようなその瞳に私は思わず言葉を詰まらせた。



優しく頬に添えられる手が、滑らかに私の肌を擦る。


私をじっと見つめる治くんは、柔和な微笑を浮かべて云った。




「…Aはとても優しい。私は幼い頃から人の裏側を沢山見てきたから、よく判るんだ。君は誰よりも温かくて心根が優しい人間だよ」



確信を持ったようにそう云った治くんに、私は思わず目を見開かせる。


何だか治くんにそんな風に褒められると、物凄く照れ臭い。




「……A、私には君しか居ないのだよ。君が私の全てなんだ」


「…っ」



そう云ってより一層抱き締める力を強くした治くんは、どこか縋るようだった。




でも、治くんには作ちゃんや安吾さんだって居る。


そう云いたかったけれど、それは何だか違う気がした。


治くんが求めているのはそういうのじゃない。治くんにとって私は、治くんが唯一今生きる理由の全てなんだと、何となく分かってしまったから。





「私は君の為なら何だってするよ。…A、私は君が望むならポートマフィアを抜ける事だって何も惜しくないんだ」



そんな事を云う治くんに私は何も云う事が出来ず、ただ黙り込む。



「それにね、私がポートマフィアに入ったのはAが居るからだ。Aが入らなかったら入るつもりなんて微塵もなかった。ただ君が一緒に居てくれるなら、私は其処が例えどんな地獄でも幸せに感じられるのだよ」




それは普通の人からして見れば異常なんだろう。


けれど私にして見れば、その度の越えた執着と依存に嬉しい気持ちと何とも云えない複雑な気持ちを覚えていた。



もしいつか私が死んでしまったら、治くんはどれ程光の世界に居ても私の後を追って絶対死ぬんだろうと嫌でも分かってしまう。


それは私にとってみればちっとも嬉しい事なんかじゃない。


治くんに生きて欲しいという願いは、前世の私がずっと思っていた願い事だから。勿論それは今も変わらない。



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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - I am gotさん» コメントありがとうございます!神作だなんて…!!(泣)こんな作者の作品を好いて下さり本当に有難うございます!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年7月21日 14時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
I am got(プロフ) - ヤバイ。神作。めっちゃ好きです!!続編楽しみにしてます!! (2019年7月21日 14時) (レス) id: dd6540e082 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 結月さん» コメントありがとうございます!沢山妄想しちゃって下さい!(笑)更新頑張ります! (2019年7月18日 10時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 今日も今日とて妄想させて頂いてます!更新待ってます (2019年7月18日 10時) (レス) id: 013547788b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年7月14日 16時

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