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「そうですか……はい、はい、ではそのように。あ、うちの子はそのまま帰して頂いて結構です。はい、ご苦労様です。失礼いたします。」
受話器越しにお辞儀をしつつ、丁寧な言葉を重ねたミナトは受話器をおろすと、自身に視線を向けていたAにニッコリと微笑んだ。
「Aちゃん、君の推理はばっちり当たったみたいだね。中嶋志織さんはやはり殺害されたようだよ。」
「では……犯人はやはり彼女の職場の人間だったんですね。」
「うん、アスマ達が戻れば詳細を報告してくれるとは思うけど、今日はすぐ帰るように言うつもりだし、Aちゃんも今手元にある仕事が終わったら、定時も過ぎてる事だし、今日はもう終わりにして帰っていいからね。」
今回の自 殺が殺人事件だと分かるや否や、こちらに仕事を投げてきた一課の人間が手柄を横取りせんとばかりにアスマ達の元に駆け付けたのは、アスマとイタチが犯人を確保して聴取を取っている最中だったようだ。
先程のミナトの丁寧なやり取りの前には、受話器越しにも拘わらず、Aにも聞こえる程の大声で文句を垂れるアスマの声が響いていた。
恐らく、もうすぐAとミナトのいる特捜本部に帰ってくるアスマは手が付けられない程不機嫌で、ミナトはそんなアスマの怒りを治めるのに時間を割くつもりなのだろう。
Aがこの場に残っていては巻き添えをくらうのは言うまでも無い事なので、ミナトはAを早急に帰すことに決めた。
そんなミナトの思惑は勿論Aには伝わらず、素直に”定時を過ぎているから帰りなさい”と言った上司の言葉をAは素直に受け止める。
「分かりました。」
「あ！でも、Aちゃん！一つだけお願いしたいことがあるんだけど良いかな？」
思いついた様に両手をポンっと合わせて笑みを浮かべる年上の可愛らしい上司にAは小首を傾げたが、”お願いね”と言って差し出された書類を手に署を後にした。
「……降り出しましたね。」
事件現場で見上げていた曇天はやはり雨を含んでいたようで、夕刻の暗くなりかけた空からはポツポツと小雨が降り注いでいた。
そんな空を見上げて独り言を呟いたAは、ため息を一つ落としてからミナトに預かった封筒を雨で濡らさないように、トートバックの中に丁寧に収めてビニール傘を開いた。
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (
レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テン | 作成日時：2021年4月20日 0時
