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「宮原樹さん……ですね？」
警察車両内で待つように言われたのか、ドアを開け放たれた後部座席で項垂れる様にして座っていた男にAがそう声を掛けると、虚ろな瞳がゆっくりとAとカカシの姿を捉えた。
「あぁ、はい……。」
「いやぁ……申し訳ないね。何度も話を聞かれてお疲れだとは思うんだけど、俺達にも話を聞かせて貰っていいかな？」
本当に申し訳なさそうに言ったカカシに、宮原樹はほんのすこし眉を顰めたが溜息一つで感情を露わにはしなかった。
その代わりに、Aとカカシから視線を外した彼はぽつりぽつりと言葉を溢し始める。
「来月……籍を入れる筈だったんです。お互いの、両親にも挨拶をして……なかなか、タイミングがなかったけど……式場を見に行く約束もしてて……刑事さん……志織は……何で……」
どうしてと声にならない声と共に、虚ろな瞳から一筋の涙が零れるのをカカシはただ無言で見ていたが、Aはそんなこと等お構いなしに質問を投げかける。
「志織さんはここ最近何かに悩まれている様子は有りましたか？もしくは、誰かに恨まれるような事はありませんでしたか？」
「悩み……ですか？そりゃ日常のちょっとした悩みはあったと思いますけど……お互いそういう事は言いあっていたし、それに、志織は誰かに恨まれるような人間では決してありません。」
Aの抑揚のない質問に、ほんの少しムッとしながら答えた樹にAはそうですかと頷く。
「では、逆に誰かに好意を寄せられていた……というような事は？」
「好意ですか……志織は外国人技能実習生の面倒を見る仕事をしているので、そりゃ彼等からの信頼は強いです。うちにも時々何人か呼んで、鍋をやったりしましたし……。」
「成程、ではその中に左利きの方はいらっしゃいましたか？」
「さぁ……そこまでは僕にはわかりません。というかさっきからのその質問は……志織の自 殺と何の関係があるんですか？」
樹がAの質問の意図が良く分からず、訝し気な顔でカカシを見たので、カカシは苦笑しつつAの腕を引いて自身の後ろに下げた。
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (
レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テン | 作成日時：2021年4月20日 0時
