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ないよ。
そう言おうとして、顔を見る。
あぁ。かっこよすぎる。好き。
推しに嘘なんて、ついちゃダメだった。
と「ねー、聞いてる?」
『としみつくんが出てるのは、…全部行ってるはず』
くはっ、って。私が大好きな、笑い方。
と「ばかファンやん。さすがに手出しちゃだめだな、それは」
あぁ。
嘘をついてたら、抱かれてたかも。
これで良かったんだって気持ちと、後悔が半々。
と「ありがとね。いつも来てくれて」
そう言い残して、としみつはトイレに行ってしまった。
それから、ラストオーダーまでわいわい楽しんで。
解散するには早いからって、二次会でカラオケに行くことになった。
『生歌が聴けるんですか…?』
「なにぶつぶつ言ってんの」
カラオケへ向かう道。
てつやにロックオンされているナナの背中を眺めながら、ミキと歩く。
『生歌が、無課金で…?いやむしろ課金したい…』
「ねぇ、痛いんだって。聞かれるよとしみつに」
『ごめん、ミキ。協力もむなしく、ガチ勢がバレました』
「はぁ?なんで?」
『自己申告した』
「はぁぁ?」
『だって嘘つけなかったんだもんー推しに嘘つくなんて無理ーじゃあ抱かれるの諦めるー』
「あーあ。もったいな」
後ろを歩くとしみつとりょうくんに聞かれないよう、小声で会話する。
カラオケに着いた。
てつやがナナの隣に当然のように座ったから、そのまま男女交互に座ることになる。
それから2時間、ひたすら夢の時間だった。
ずっと聴いていたい。
大好きな歌声、泣きそうになった。
一緒に歌ってくれた。
肩組んでくれたし、ハイタッチもした。
あぁ、もう全ての運を使い尽くした。
幸せで、ぼーっとしながらカラオケを出る。
て「じゃ、俺らはこれで」
てつやとナナが、にこにこしながら夜の街へ消えていく。
まぁ、そりゃそうでしょうよ。
手を繋いで行ってしまった二人に、ひらひらと手を振る。
大好きなグループのリーダーが、今から自分の友達と関係を持つ。
これもすごいことだよなぁ。
なんて、冷静に考えていると。
「A」
ミキに耳打ちされる。
『ん?』
「じゃあうちらも、気遣って消えるから。がんばれ」
『え、待って。私はもう…』
もうそういうのは、諦めたから。
って言う前に、ミキとりょうくんが歩き出す。
り「俺らは、積もる話があるから。飲み直してくるわ」
バイト一瞬かぶってただけで、なに積もる話があるんだよ。
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こは(プロフ) - 胸が…ぎゅーーーってなった……すきです…ありがとうございました…(?) (2020年4月23日 12時) (レス) id: 78e7bcbdad (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - う、うわぁ、ありがとうございます、ちゅっちゅさんの文才ありすぎ羨ましいです、、、頑張ります泣 (2019年7月19日 8時) (レス) id: f2a0ee3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ぴさん» ぴさんの見てます!(笑)がんばってください(笑)ありがとうございます!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 何回読んでもキュンキュンさせられます! (2019年7月13日 1時) (レス) id: af508cf9f8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - キュンキュンが止まらない作品でした!ありがとうございます!また新たな作品も楽しみにしております! (2019年7月12日 7時) (レス) id: 08df1f4a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年6月12日 1時