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お酒も進み、みんなだいぶ酔ってきた。
てつやは、ナナが気に入ったらしい。
小柄な童顔で、肩ぐらいの髪の毛。
てつやが好きそうなタイプ。
あからさまにぐいぐいいっている。
ミキは、りょうくんとバイト話で盛り上がってるし、必然的に私ととしみつの組み合わせ。
酒の力を借りて、地元トークでなんとか普通に話せている。気がする。
ドキドキしてふわふわして、わからない。
「A、トイレ行こ」
ミキが立ち上がった。
『行く』
「え、じゃあ私も行く」
ナナも立ち上がる。
て「作戦会議?」
『あは、内緒〜』
三人で、鏡の前。
当然作戦会議だ。
「てつやは、ナナだね」
ミキがメイクを直しながら言う。
「うん、私も割とあり。てつや」
「で、どう?としみつ」
『顔が良すぎる』
「いやそんなこと聞いてねーし」
顔が良すぎる。
直視できない。
「でもなんか、いけそうだよね」
「うん。とりあえずうちらは残りの二人と楽しくしてるからさぁ」
がんばれ。二人が声を揃える。
何を頑張れと言うのだ。
「そろそろ行こっか」
グロスの蓋を閉めながら、ナナが言った。
『待って。緊張状態続きすぎて。もうちょい休憩させて』
推しが輝きすぎて、消費エネルギーがすごい。
「あー、じゃあうちら先戻ってるから」
『うん。すぐ行く』
ゆっくり時間をかけて、化粧を直す。
よし。
トイレから出て、薄暗い廊下に出る。
と「お。うんこ?」
まさかの、としみつがトイレに向かって歩いてきた。
心臓が飛び跳ねる。
『女の子にそんなこと聞かないでくださーい』
トイレへの廊下は、ぎりぎりすれ違えるぐらいの狭さ。
壁に背中をつけて、道を譲る。
と「ありがと」
すれ違おうとしたとしみつが、止まった。
トイレに向かおうとしていた体を、私に向ける。
『ど、どーしたの?』
としみつは、何かを考えるように自分の顎に手をやる。
と「俺推しなんだっけ?」
今?今聞く?
この状況で?
近い。近い。無理。
心拍数が、マラソン直後ぐらいある。
推しが私の顔を直視していることに耐えられなくて、下を向く。
『…うん』
と「ふーん。嬉しいなぁ」
なんか。だいぶ酔ってます?
下を向いている私の顔に、としみつのあったかい手が触れた。
そのまま、くいっと顔を上げさせられる。
と「イベントとか、来たことあんの?」
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こは(プロフ) - 胸が…ぎゅーーーってなった……すきです…ありがとうございました…(?) (2020年4月23日 12時) (レス) id: 78e7bcbdad (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - う、うわぁ、ありがとうございます、ちゅっちゅさんの文才ありすぎ羨ましいです、、、頑張ります泣 (2019年7月19日 8時) (レス) id: f2a0ee3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ぴさん» ぴさんの見てます!(笑)がんばってください(笑)ありがとうございます!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 何回読んでもキュンキュンさせられます! (2019年7月13日 1時) (レス) id: af508cf9f8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - キュンキュンが止まらない作品でした!ありがとうございます!また新たな作品も楽しみにしております! (2019年7月12日 7時) (レス) id: 08df1f4a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年6月12日 1時