004 ページ4
*
「感染者のみで構成されていると推測されるテロ組織、ヴィーダファーニガン・オガニザツォン。しかし、ここまで思い切った行動に出るとは……」
「どうするホッケ〜?俺、見捨てたくないよ」
スバルが言った。その表情は強張っている。
「こちらにはドクターがいる。しかも記憶喪失だ。俺たちの任務は、ドクターを護送することだが、しかし……」
「見捨てたくないんだろ?分かってるよ、こういう時のお前って結構強情だもんな」
真緒が笑った。手に持っている魔法の杖のようなものが、赤から青に変わった。
「俺も同意見だよ。市民は出来るだけ逃がそう。市民への対応は俺がやるから。ドクター、いきなりで悪いけど、俺たちを指揮してくれないか」
「し、指揮……?」
突然話を振られ、ドクターは狼狽えた。
「で、でも私……」
「暫くは俺たちの戦いぶりを見ててよ。そうしたら、指示も出しやすくなると思う。俺たち5人、そうやって訓練してきたから。ね、信頼してるよ、あんず」
スバルが笑い、真と共に走り出した。真は槍のようなものを構え、スバルはついと手を振るう。ヴィーダの構成員たちの方へ、黒い靄のようなものが飛んでいく。
「な、なんだこいつらは……ぐあぁっ!」
「つ、強い……」
「みんな、俺についてきてくれ!こっちは安全だから!」
真緒が声を張る。ドクターの横で、北斗はボーガンを引いていた。
「衣更、後ろ!」
「!」
真緒の杖が赤に変わるが、その直前に真緒の後ろにいた敵は矢に貫かれていた。北斗のボーガンの矢ではない。別の人物が射ったものだ。
「無事か!」
「蓮巳先輩!」
「馬鹿か貴様らは」
弓矢を持った、眼鏡の神経質そうな青年が、速足でドクターたちの方へ向かってきた。
「ドクターを救出できたというのに、何故隠密しない……いや、聞くだけ無駄か。こちらも神崎が既に飛び出してしまっているからな、俺も鬼龍も戦闘に回っている」
「そうか。あ、ドクター、こちらは蓮巳敬人先輩、紅月のリーダーだ。蓮巳先輩、ドクターは記憶喪失になっている」
「何?記憶喪失……」
敬人は一瞬、悲しそうな表情を浮かべたが、次の瞬間には既に元の表情に戻っていた。
8人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩音(プロフ) - Chrisさん» ほんとですか・・・!?ドクター出てこなくても全然楽しめるタイプなので、是非投稿して頂けると嬉しいです。 (2022年8月4日 20時) (レス) id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
Chris(プロフ) - 彩音さん» コメントありがとうございます、返信遅くなり申し訳ありません>< ドクターが出て来ないパターンであれば、今も書いておりますので、機会があればこちらにも投稿しようと思います。好きと言っていただけて、本当に嬉しいです。 (2022年8月2日 11時) (レス) @page7 id: e6bb7f68d0 (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - やばいどちらも好きなゲームだから最高でした・・・。更新が止まっていて悲しいですが、この作品好きでした!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時:2020年10月6日 21時