012.寝言 ページ12
.
成宮さんとの同居生活初日。
長かったような、あっという間だったような、そんな不思議な一日がもうすぐ終わ____
「洗濯と風呂掃除してから寝ろよ」
まだ終われませんでした。
昨日と同じように肩にかけたタオルで髪を軽く拭きながら「お湯は抜いといたから」と言った。
そしてソファに深く座ると、私の見ていたバラエティ番組をベタな恋愛ドラマに切り替えた。意外とこういう系が好きなのか、成宮さん。
私は重たい腰を上げて「はーい」と不満気な態度を表に出さないように明るい調子で返事する。
まず最初に脱衣所にある洗濯機を回し、その間に浴室で浴槽を洗う。
そういえば、幼馴染のメッセージに返事をするのをすっかり忘れていた。…ま、どっちにしろ会う気はないし、無視しても同じだ。
いっそこのまま疎遠になれば、私は前に進める。
浴槽いっぱいに塗れた泡を、最後にシャワーで洗い流す。一息つく間もなく、今度は洗濯し終えた衣類を洗濯ハンガーにかけた。
やっと終わった、と凝った肩を回しながらリビングに向かえば、ソファに横になってすやすやと規則正しい寝息を立てている成宮さんがいて。
忘れかけていたけれど、成宮さんはプロ野球選手。私なんかの何十倍も疲れていたんだ。今日は夕飯も連れてってもらって、ほんとに迷惑かけちゃったな。
「成宮さん、こんなところで寝たら風邪引きますよ」
ポンポン、と優しく成宮さんの肩を叩く。
「ん……」
「休むんならベットに…」
行ってくださいと言い切る前に、ソファから伸びてきた手によって、私は成宮さんの方へと倒れこんだ。
強く強く、痛いほどに抱き締められる。
身動きさえ取れないほどに。
異性に抱き締められてるからか、それとも相手が成宮さんだからか、いや後者は絶対にないけど、心臓が久し振りに忙しなく動いていく。
い、いきなりなんなの。
「成宮さん……?」
相変わらず聞こえてくる寝息。寝ぼけてる?
と思ったその時、
「__麻由…行かないで……」
少し掠れた泣きそうな成宮さんの声が、すーっと耳を通り抜けた。
.
143人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅまろーず(プロフ) - 夏乃実さん» 成宮くんと元カノさんの区切りがやっとついたので、成宮くんには夢主さんとのデートを楽しんでもらってます笑 いえいえ、そんな私なんてまだまだです…!ありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2017年3月27日 8時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - 初コメ失礼します!!毎回毎回ドキドキしながら読ませてもらってます。鳴ちゃん書くのがとっても上手くて尊敬します!更新頑張ってください^^* (2017年3月26日 23時) (レス) id: 926ac8ac50 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - *.-+樺虹+-.*さん» いえもう本当に私の理想の成宮くんを書いているだけなので…!笑 イケメンさを表現できているなら安心しました笑 樺虹さんありがとうございます!更新頑張ります♪( ´▽`) (2017年3月23日 22時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
*.-+樺虹+-.*(プロフ) - 突然コメント失礼します!もう鳴がイケメン過ぎてやばいです!! 占ツクから通知来ると、bitterhomeかな??って思うほど楽しみにしてます!!これからも頑張ってください!! (2017年3月23日 18時) (レス) id: 7b9748159c (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - 胡美さん» 御幸くんはここでは成宮くんの友人ポジションという、キューピッド役になると思います笑 作者が真田くん好きなので出してみました! ありがとうございます^_^ (2017年3月20日 15時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましゅまろーず | 作成日時:2017年3月2日 18時