【◇】18 -eighteen-

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「あー！楽しかったです！」

「それはなにより」




水族館から出ると、嬉しそうに話すAにすーっと手を離す。

残念そうにしてるけど、さっきみたいに握ろうとしてはこない。水族館マジックってやつだろうか。




「腹減ったな」

「あ、そんな御幸先輩に……とっておきが！」

「昼飯のプランはあんの？」

「えぇ！バッチリです！」




Aは嬉しそうに笑うと水族館の周りに並んだ丸テーブルに俺を座らせると、ごそごそと大荷物を探って「はい！」と大きめの弁当箱を取り出した。




「…Aの手作り？」

「です！」

「…へぇ」




正直、ここまで用意されてるとは思ってなかったので、少し嬉しい。

まあ部活でこいつの握ったおにぎりは散々食べてきてるわけだけど。

Aは嬉しそうに箱を開けると、なぜかすぐに蓋を閉めた。




「…先輩」

「なに」

「…人ごみで荒れ放題なんですけどどうしましょう」

「………まじで？」




真っ青な顔で言うAに、俺も苦笑いで答えて箱を受け取ると、そーっと開ける。

確かに、多分作り慣れてないこいつの弁当の中身はいい具合にスクランブルされていて、俺は思わずぷっと吹き出す。




「そこで笑いますかぁ！？」

「はっはっはっ…いや、あの…はっはっはっ」

「こっちは本気で作ったのに！！」




爆笑する俺に半泣きで「笑わないでください！！」と反論するAに、もっと笑ってしまう。




「もういいです…どうせ御幸先輩のほうが料理上手だし…そこでなにか買ってきます」

「あーいいって。食うよ」




財布を持って立ち上がりかけるAを止めて、割り箸を割って卵焼きをつまむ。

Aは少しふてくされた顔で俺を見つめている。


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