【◇】メガネくんと恋心 (ページ10)

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考えたってページ10

『君が好きだ』

授業が始まってからも、そのことを考えていた。

幸い、私は授業を聞かなくても板書さえしていれば大体内容が分かる学力を持ちあわせていたので、考え事に集中できた。

桐島君は私が好き。

でも、私は御幸君が好き。

…じゃあ、御幸君は？

そもそも、御幸君は好きな人いるの？

…そんなの、考えたって分かるわけない。

じゃあ、聞いてみる？

…そんな勇気、私は持ってない。

桐島君は、私の気持ちを聞かなかった。

返事はいつでもいいってことなのかな…

でも、やっぱり早めに答えを出した方がいいとは思う。

桐島君は見た感じ、結構いい人そうだった。

御幸君はきっと、私なんて眼中にないんだろう。

私がずっと御幸君を見ていても、御幸君は別の所を見ているんだろう。

だったら、私のことを見てくれている桐島君を見た方がいいのだろうか。

礼｢それじゃあこの例文を…速水さん、読んでもらえるかしら？｣

｢……あ、はい｣

自分の名前を呼ばれて、現実に引き戻される。

別に難しくない例文だったから、スラスラと読めた。

高島先生は微笑んで、｢上手ね｣と言った。

…私もあんな美人だったら、御幸君は私のこと見てくれたのかな。

そもそも御幸君って女子のどこを見てるんだろう？

顔？胸？足？性格？

それとも女子なんて見てない？

…そんなの、考えたって分かるわけない。

じゃあ、聞いてみる？

…そんな勇気、私は持ってない。

…って、ついさっきも同じこと考えたな…

｢はぁ…｣

私は授業が終わると、いつものように机に突っ伏した。

ふと顔を少しだけ上げて、御幸君の方を見た。

御幸君はいつものように頬杖をついて外の景色を眺めていた。

いつもと違ったのは、今日は何かを考えてそうな顔をしていたこと。

いつもは退屈そうな顔をしてただ眺めているだけって感じだったけど…

…何考えてるんだろうな…

御幸君のことを、もっと知りたい。

私のことを、もっと知ってもらいたい。

…やっぱり、私は御幸君を見ていたい。

私は放課後、桐島君を呼び出した。

｢…ごめんね…私、好きな人いるの…｣

桐｢そっか…こっちこそごめんね、いろいろ悩ませて｣

｢え？｣

桐｢授業が終わった後とか、すごく考え事してそうな顔だったから｣

｢…｣

それを聞いて、ちょっと恥ずかしくなった。