【◇】メガネくんと恋心 (ページ7)

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似たもの同士ページ7

私たちが見るのは、もちろん男子の試合。

御幸君が出る。

…やっぱりカッコいいな。

横から女子の黄色い声援が聞こえる。

御幸君が笑みを浮かべてこっちに手を振ると、更に黄色い声…というか悲鳴が上がっていた。

相手のチームはそれが心底気に食わないようだ。

特に、ヤンキーっぽい感じの顔をした人が眉間に皺をよせて｢ブッ潰す…｣と呟いていた。

あの人確か野球部にいた気が…

｢朱里…あの人怖い…｣

朱｢ん？だれだれ…って、あの元ヤン野郎か…｣

朱里は私が誰を見ているのか知ると、声色が変わった。

待って、こっちも怖い。

殺る気満々な朱里をなだめていると、試合が始まった。

男｢いけー倉持ー！｣

女｢御幸くん頑張ってー！｣

男｢いいぞもっとやれ！｣

女｢キャーカッコいいー！｣

すごい…声援が…

どうやらこの試合が1番注目されているようだ。

さっき朱里に｢元ヤン野郎｣と呼ばれていた彼は、倉持君というらしい。

男子からの声援がすごい。

対して、御幸君は女子からの声援がすごい。

倉持君って、何か朱里に似てるな…

でも、そんなことを言ったら命が危ない気がするので、口には出さないでおく。

そうこうしてるうちに、御幸君と倉持君がさっきの私と朱里のような状況になった。

倉｢ヒャハハ！そのメガネ叩き壊してやるぜ！｣

御｢おいおい、メガネって意外と高ぇんだぜ？｣

B組のサーブを危なげなくカットすると、やはりボールは倉持君に上げられた。

すかさず御幸君がブロックに入って…

…あれ、ちょっと跳びすぎたんじゃ…

御｢やべっ｣

私は御幸君の呟きを聞き逃さなかった。

私と違ったのは、スパイクが直撃したのが顔面じゃなくて側頭部だったこと。

咄嗟に顔を背けたらしい。

でも、私と同じように倒れ込んで、同じように人だかりができた。

御｢…あーやべ、耳と首やったかも｣

倉｢それ大丈夫なのかよ｣

周りが少しざわつき始めた頃、先生が｢一旦終わるぞー｣と言ったので、みんなぞろぞろと並び出した。

…御幸君って、意外と野球以外できない？

頭の右側を押さえる御幸君を横目で見ながら、挨拶をした。