祭だ！ 1 ページ29
いろいろあって、文化祭当日。
2日間あるうちの1日目。
開店前にみんなで集まって、最終確認をする。
何故か御幸君に副料理長？に指名された私は、御幸君と交代でキッチン組の指揮を執ることになった。
御幸君と私の今日の勤務時間が異常に長くて、どういうことだと2人で抗議したら、その分明日はほとんど自由行動でいいらしい。
御｢じゃあ明日一緒にいろいろ回ろうぜ｣
｢え…一緒に？｣
御｢嫌なら別にいいけど｣
｢あっいや、全然嫌じゃないよ？うん、むしろ嬉しい…あっ｣
御｢え？｣
｢い、いや！何でもない！それより朱里も連れてっていいかな？｣
御｢いいぜ…あ、倉持も連れていこうかな｣
｢え…その組み合わせはマズイんじゃ…｣
御｢それがさ、最近アイツら仲いいんだよ｣
｢ええ？あんなに殺し合いが始まりそうな雰囲気だったのに？｣
御｢殺し合いって…理由は知らねーけど、とにかく友達になってんだよ｣
｢へぇ…じゃあ大丈夫かな？｣
御｢大丈夫だろ｣
明日の予定も決まったところで、文化祭スタート。
さすがに朝ということもあってか、お客さんはまだ数人。
でもキッチン組はというと…
｢みんな！今のうちに作り置きできるやつはやっちゃうよ！｣
｢｢おー！｣｣
御幸君は今、客引きをしている。
私の頭の中では、｢御幸君が客引きをしている＝女性のお客さんが増える｣という式が成り立っていた。
つまり、女性向けのメニューが多く頼まれる。はず。
だから私は女性向けメニューを作り置きしておくことにした。
おかげでキッチン組は既に大忙し。
これで昼の1番多い時間帯はいくらか楽になるはずだけど…
ガラガラ…
客｢…ねぇ、あの人客引きしてた人じゃない？｣
客｢ほんとだ…わ、めっちゃイケメン…｣
客｢よね、ほんとイケメン｣
何だかお客さんがざわつき始めた。
話の内容から察するに…
御｢速水！しばらくオレ接客でもいいか？｣
｢いいよ、こっちは大丈夫だから｣
裏に顔だけ出した御幸君。
全身見たかった…
交代する時に見よう。執事服。
御｢お帰りなさいませ、お嬢様｣
御幸君の声が聞こえてくる。
…見たい。見たい見たい。
っていうか私も言われたい。
お客さんになりたい。羨ましい。
｢うらやましい！！｣
そう叫びながらも私の手は止まることなくずっと動いていた。
この様子を見ていたキッチン組に、私の腕にはウデーが寄生しているのでは？と噂されていたことを、私はまだ知らない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゆき | 作成日時：2016年10月10日 0時
