危うく ページ24
〜御幸side〜
出かける準備をしていると、早々に倉持に見つかった。
倉持は何も言わずに去っていった。
…逆に怖ぇわ。
その後は誰にも見つからずに寮を出た。
昨日、2人で歩いた道を思い出しながらゆっくり歩く。
…やっぱ1人で歩いても面白くねーな…
オレは少し足を速めた。
御｢ここだな｣
昨日初めて知った速水家。
こんな短期間にもう一度来ることになるとは思ってなかった。
時間を見れば、約束した時間の5分前。
…ちょっと早いか？
いや、でも…
オレは少し迷って、結局ドアホンを鳴らした。
ピンポーン
｢…ーい｣
中から声が聞こえてきた。
オレはパーカーのポケットに手を突っ込んで待っていた。
…そういや速水の私服って初めて見るような…
ガチャ
｢えっと…さっきぶり｣
御｢っ…｣
速水はドアを開けた時の姿勢でオレを見上げていた。
…やべぇ。
それはやべぇわ。
｢…御幸君？｣
御｢ん…ああ、そうだな｣
速水に名前を呼ばれて我に返った。
御｢行こうぜ｣
｢うん｣
オレ達は並んで歩き出した。
｢御幸君ってちょっと身長伸びた？｣
御｢ん？そうか？｣
｢前は私と目線が同じくらいだったけど、今は御幸君の方が高い気がする｣
本人はきっと無意識だろうけど、速水はずっとオレを見上げて話している。
そんなにこっちを見られると…
オレは速水とは逆の方向に目を向けて呟いた。
御｢…速水が縮んだだけなんじゃね？｣
｢なっ！？｣
照れ隠しのつもりで言ったのに、速水は本気にしたようだ。
御｢ははっ！｣
｢…もう｣
速水はそっぽを向いた。
御｢…フフッ…悪かったよ｣
｢…｣
ったくほんとに…
御｢可愛いなぁ…｣
｢え？｣
御｢あ｣
…やっべ…！
オレはバッと口を押さえた。
｢何か言った？｣
御｢あ…いや…何も｣
｢…そう？｣
…っぶね…聞こえてなかった…
｢…何か…大丈夫？｣
御｢…何で？｣
｢だってさっきからちょっとおかしいし…｣
…そりゃそうだろうな。
御｢いやー、速水の反応が面白すぎて｣
｢お、面白すぎてって…！｣
速水はわなわなと震えている。
…真に受けすぎだっての。
御｢やっぱ速水といると楽しいわ｣
｢…え｣
御｢腹は痛くなるけど｣
｢…｣
御｢…痛い痛い痛いごめん悪かったって！｣
速水は無言でオレの左肩を掴んだ。
コイツ…地味に握力強ぇ…！
オレは速水は怒らせると怖いことを知った。
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作者名：みゆき | 作成日時：2016年10月10日 0時
