一目惚れ ページ3
御幸君はイケメンだ。
それは周りの女子の反応からも分かる。
私は面食いではないけれど、それでもやっぱり御幸君はすごくカッコいいと思う。
でも、私が御幸君をカッコいいと思う理由はそれだけじゃない。
さっきのあの出来事。
他の人からすれば、別になんてことない行動だったかもしれないけど、私は本当にカッコいいと思った。
それに…
別れ際に呼ばれた、私の名前。
あの声がまだ響いてる。
これは…
｢恋…かな…｣
？｢やっほ！｣
｢わあ！？｣
？｢ごめんごめん、びっくりした？｣
聞き覚えのある声に振り向くと、私の唯一の親友である朱里ちゃんがいた。
｢朱里ちゃん！｣
朱｢だから、ちゃん付けじゃなくて朱里って呼んでって言ったじゃん？｣
｢ああごめん…やっぱり呼びづらくて…｣
朱｢まあ慣れるまでそれでもいいけどさ｣
｢うん｣
朱｢そういえば、Aはクラス何だった？私はAだったけど｣
｢ほんと？私Bだった｣
朱｢あちゃー離れちゃったか｣
｢うん…｣
朱｢大丈夫だよ、昼休みとか一緒にご飯食べよ｣
｢うん｣
朱｢あ、そろそろ行かなきゃ…じゃね！｣
｢また後で｣
A組か…
人見知りの私にとって、朱里ちゃ…朱里とクラスが離れたのは致命的。
クラスに馴染むのにも時間がかかりそうだ。
｢…私もそろそろ行かなきゃ｣
私は朱里が走っていった方へ歩き出した。
まだ時間に余裕はありそうだけど、少し急ぎ目に教室へ入る。
自分の席に座って、ふぅ…と息を吐く。
何気なく横を向くと、窓際の席で頬杖をついて外を眺めている人を見つけた。
｢御幸君…｣
すごく絵になってるけど、当の本人はとても退屈そうな顔をしていた。
早く終わってほしいんだろうな…
私も早く帰りたい。
そんなことを考えていると先生が入ってきたので、私は前を向いた。
入学式中、時々御幸君の方を見ると、目が開いていない時が何回かあった。
校長の話が長いのは分かるけど…
頑張ろうよ…
そう思いつつ、私は何度目か分からない欠伸を慌てて噛み殺した。
教室へ戻ってからも、私は無意識に御幸君を目で追い続けていた。
御幸君って何かスポーツしてるのかな…
鳴と同じで野球部だったらいいな…
淡い期待を胸に、私はカバンを持って教室を出た。
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作者名：みゆき | 作成日時：2016年10月10日 0時
