出会い ページ2
｢それじゃあもうすぐ行くね｣
母｢気をつけてね。私も後から行くから｣
｢うん。翔、行くよ｣
翔｢ちょっと待って！｣
玄関でバタバタと靴を履く翔。
翔｢…よし！行こう姉ちゃん！｣
私&翔｢｢いってきまーす｣｣
母｢いってらっしゃい｣
お母さんに手を振ってから家を出る。
今日は入学式。
高校と中学の入学式が被ってしまったので、今日はお母さんは大忙しだ。
大変だなぁ…
｢ちゃんと学校の場所覚えてる？｣
翔｢覚えてるよ！｣
｢私ついていかなくて大丈夫？｣
翔｢大丈夫だってば！｣
そんな他愛もない会話をしているうちに、少し大きな通りに出た。
ここで私たちは別れる。
｢じゃ、気をつけてね｣
翔｢姉ちゃんこそ攫われたりすんなよ！｣
｢はいはい｣
私は翔に手を振って前を向いた。
青道高校。
家から1番近くて、歩いて通える距離の高校。
偏差値はそれなりに高かったけど、私なら頑張って勉強すれば難しくないレベルだった。
そして、私がこの高校を選んだもう1つの理由。
稲城実業、市大三高に並ぶ、西東京地区の強豪校。
鳴は稲実に行くと言っていたから、それなら私は青道に行こうと決心した。
稲実に行ってもよかったけど、ちょっと遠いから…
…鳴には悪いけど。
ということで…
｢着いた…｣
校門に着いた私の目の前には『青道高校』の文字。
深呼吸をして、私はクラスが貼り出されている人混みの中へ向かった。
…全然見えない…
私は女子の中では大きい方だと思うけど、人が多すぎて後ろからじゃ全く見えない。
時間かかりそうだな…
？｢なあ、そこのでっかい子｣
｢…｣
？｢おいおい無視すんなよ｣
肩を叩かれて、初めて自分が呼ばれていることに気づく。
振り向くと、そこには私と同じくらいの身長のメガネをかけた人が立っていた。
｢…私…ですか…？｣
？｢名前は？｣
｢え？｣
？｢いいから、名前は？｣
｢速水…Aです…｣
？｢速水ね…｣
そう言うと、彼はズンズンと前へ進んでいった。
彼の行く手には自然と道ができた。
…モーゼか。
しばらくして、彼が戻ってきた。
？｢B組。オレと同じだな｣
そう言って立ち去ろうとする彼を引き止める。
｢あ、あの！｣
？｢ん？｣
｢名前は…？｣
？｢同じクラスなんだし、すぐ分かるだろ？｣
｢でも…｣
？｢御幸一也｣
｢…御幸…君｣
御｢んじゃ、また後でな、速水｣
御幸君は私に手を上げて去っていった。
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作者名：みゆき | 作成日時：2016年10月10日 0時
