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レオくんは一週間に一度の頻度で、私の家を訪れるようにった。
ただ一緒にご飯を食べて、一緒に眠って、次の日の朝に彼を自宅まで送り届けてから登校する。
一度、レオくんのご両親が現れて何度も頭を下げてくれたけど、これは善意などではなくて私がしたくてしていることだからと伝えると、二人は眉を下げて笑った。
「 君がいてくれるからあの子はまだあの子でいられる 」
お父さんの言葉が頭から離れない。
私という存在は彼のためになっているのだろうか。
お節介だとか、自己満足の押し付けだとか、そういった言葉は言われ慣れているのに、感謝をされると何とも言えない気持ちになった。
「 なんか疲れたなあ。絶対 体育の持久走のせいだ 」
学校帰りに買い物を終わらせてから帰路につき、ズキズキと痛む足に鞭を打って歩く。
「 ねぇ、あの人どうしたの? 」
「 声掛けてみたら? 」
「 えぇ、なんか怖いじゃん 」
すれ違った他校の女子高生たちの会話が、スっと耳の中に入ってきて、私は辺りを見渡した。
彼女たちのいう「 あの人 」が誰だかは分からないけれど、もし困っているのなら助けてあげないと。
「 はぁ、はあ、う… 」
見つけたのは、反対側の道路端で苦しそうに胸を抑えるレオくんの姿。
私は車が走ってこないのを確認してから、少し先にある横断歩道は無視して道路を突っ走った。
「 レオくんっ!! 」
「 あ、スワ、スワだ。すごいなスワは、おれが来てほしいって思ったらほんとに来てくれるんだ。やっぱりおれの光だ 」
「 大丈夫!? 無理に話さないで、ゆっくり息吐いて! 」
背中を擦りながら、彼の手をとると思った通りすっかり冷えきっている。
「 もう大丈夫だ、スワが来てくれたから 」
「 何があったの、レオくん 」
「 今日も、スワに会いに行こうと思ったんだ。だけど、同じクラスのやつに会っちゃって 」
そう話すレオくんは、最初 会った時よりいくらか感情を表に出すようになった。
今も身体を震わせて、「 怖かった 」という気持ちをこちらに伝えてくれている。
「 咄嗟に逃げてきたんだ。そしたら、知らない道に来ちゃって、おれ 」
「 もう大丈夫だよ、一緒に行こう 」
離さないように強く手を握り歩き出す。
とりあえず、レオくんに連絡先を教えて貰って、スマホは常に持ってもらうようにしよう・・・。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます! 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです!更新頑張って下さい!! (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリ | 作成日時:2021年9月23日 4時