元上司と戦うなんて聞いてない！(京楽春水落ち) (ページ3)

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分かりきったことページ3

『……戻ってきてよ、月華。』

喜助に時間がほしいことを伝えた後、静かな山奥で月華の精神世界に入ったA

既に何度目か分からない名前を呼び続け疲れていた

月華に拒絶され続け、身体中ボロボロ

手は感覚がない程…真っ赤に染まっていた

Aの目線の先には花びらのベールに包まれた青年が座っていた

彼の目には怒りと悲しみの色が籠り、再び花びらの刃でAを攻撃しようとしていた

『……巻き込みたくなかった。』

その言葉に、月華はようやく口を開いた

｢散々、俺を使っておきながら何を言っている？あの日……なぜ力を解放しなかった？そうしていれば、こうはならなかった！！｣

ガシャン…と目の前に刀が飛ばされてくる

『月華…？』

花のベールを辺りに展開させ、月華は刀を構えた

｢抜けよ…俺はお前に捨てられたんだ。……次の宿主を探す為に、俺はお前を斬る。｣

彼の言葉を聞いたAは刀を遠くに投げ、悲しい顔で口を開いた

『斬る前に…いえ…少しだけ私の話を…聞いて、月華。』

聞く気のない月華だったが、彼女の真っ直ぐな眼をみて大人しく刀を下ろした

『…ありがとう。……あの日確かに私は貴方を手放したわ…でもそれは守りたかったから。もし……もし万が一貴方が奴らの手に渡ったら二度と…………会えなくなる可能性があった、悪用される可能性が高い確率であったからよ…月華。』

*

『……この子だけでも…………先にっ…！』

*

過去のことを思い出しながら、Aは刀を落とした月華を抱き締めた

｢……分かってる…………分かってんだよんなもん。…けど、俺は貴女を…………守りきれなかったっ！！深い傷を負わせた！！！｣

悔しそうに…そして悲しい声で月華は叫んだ

『でも生きてる…だからこれから先、守れなかった分……私を守ってよ。ずっと一緒に居てよ…………月華。』

震える手で月華の背中を擦る

｢…当たり…前だ………あんな奴に、俺は二度と負けねぇし…誰も傷付けさせやしない。……死ぬ時は一緒だからな。忘れるなよ、A。｣

その言葉を最後に、月華は刀に戻った

『…ありがとう月華。』

鞘から刀が抜ける事を確認し、Aは精神世界から出る

日は既に昇っており、携帯を見ると喜助から連絡が入っていた

黒髪くんたちが尸魂界に向かった…と

『……お風呂入ってから行こう。』

処刑が迫っていてもマイペースなAであった
はよ行け