元上司と戦うなんて聞いてない！(京楽春水落ち) (ページ1)

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プロローグ夢主side ページ1

ずっと昔…憧れだった人がいた

孤独だった私に光をくれた人

私に心という優しさをくれた人

守りたかったあの人から

私は逃げた

｢頼む！アンタ強いんだろ！！？ルキアを助けたいんだ！｣

今の私は果たして強いのだろうかと考えながら視線を落とす

オレンジ色の髪の少年…黒崎一護は死神の素性を隠して歌手として生きていた私の元に現れ、深く頭を下げていた

自分を助けるために死神の力を渡し、その罪に問われるルキアを助けたいと

真っ直ぐな眼で、そして迷いのない顔で頼み込んできたのだ

彼の後ろには浦原喜助が立っていた

歌手とはいえ、喜助には沢山の恩がある

断ったらアタシにも考えがあるっスよ〜とでも言いたげな眼を睨んでから、深く息を吐いた

『………わかったわよ。ただし、仕事の打ち合わせがあるから少し遅れるわよ。』

一護に連絡先を渡し、スマホでマネージャーにメールを送る

暫くツアー以外は休みを取ること

お金に関して心配は要らない

普段からお金を使わなかったお陰で貯金は沢山ある

｢ありがとう！！えっと……。｣

『月代、月代 Aよ。一護くん。』

本名を教えると、一護くんは無邪気に笑った

｢有名歌手月詠の本名か…いい名前だな！｣

少しだけある少年の姿に重なって見えたAは懐かしそうに微笑むと、一護を暗くなる前に帰した

｢てっきり断ると思ったんですがねぇ…本名まで教えちゃって大丈夫なんスか？Aさん。｣

一護が帰ったあと、許可もなく勝手に部屋に上がり込んだ喜助は彼女を見下ろす

『…断ったらなにか条件を付けるでしょう？それが浦原喜助という男だと私は思いますが。……で、月華は？』

表情を変えずに答えたAは、刀を喜助から受け取る

｢バレてたんスか……アタシでは力不足の様で、月華は抜けませんでしたよ。…………あれ、Aさん？｣

ガラン！！！

『っ……！！』

何も言わなくなった彼女を見れば手を弾かれ、斬魄刀の月華が落ちる音が部屋に響いた

喜助はハンカチを彼女の血だらけの手に当て、様子をみる

『……やっぱり、ね。』

辛そうに声を絞り出したAは2日ほど時間が欲しいとだけ喜助に伝え、月華とともに部屋から出ていった

｢……Aさん…。｣

誰もいない部屋に、喜助の悲しそうな声が響いた