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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ18

老人はそこまで言ってそっと機体に触れた。哀愁漂うその姿に、ノルカもソルカも瞳を伏せる。

「だからこそ。生き残った儂らが諦めてはならない。何もせずに朽ち果てては、それこそ死んでいった仲間達に顔向け出来ん」

老人は目元を綻ばせ、二人に視線を向けた。
その表情がどことなく…。二人に父ヤシを思い起こさせる。

「……いいのかよ爺さん」

そこでボソリとノルカが言い放った。

「何がじゃ?」

「俺達は、月都から来たんだ…。アンタらが苦しんでいたのも知らずにのうのうと生きてきたんだ。そんな俺達にこんな……大事なもん見せて」

ボソ、ボソと消え入るようにそう言ったノルカの頭にぽん。と乗ったのは老人の掌。
見上げたその表情はなんとも慈愛に満ちたものだった。

「ヌシらも共に来るといい」

「……は?ち、地球にか!?」

「左様。ヌシらは若い。世界を知るのだ。この世界はとてつもなく広いのだ。そこで出会い、学び、生きなさい。」

これまで。ノルカとソルカにとっての世界は、球体の中だけであった。
その言葉に沸き起こる幼い好奇心はみるみる間に膨れ上がる。
地球。という書物の中だけの未知の惑星に馳せるのは、想像もつかない新たな世界だった。

「で、でも!どうしてですか!?僕達は……」

「ヌシらの瞳は似ている。」

「にて、る?」

「裏切られ、踏みにじられ……。絶望した昔の我々妖兎の瞳に。…フォフォ!この年になると、若い者に余計なお節介を焼くのが楽しみになるものでな。ここは一つ。この耄碌の楽しみに付き合ってやってくれんか?」

ざぁっと乾いた風が宇宙船を覆うテントを揺らした。
吹き込む風は相変わらずの悪臭だったが、先程まで気になっていたその風が不思議と気にならなくなっていた。





「オキナ。」

「ハッ、如何なさいましたか」

月都。そこにある宮殿内。
帝の間では、ツクヨミが扇を翻し目の前に膝をつくオキナを見つめ目を細めていた。

「あれから、あの餓鬼共はどうして居るのだ?」

「ハッ、それが……郷の村にある家はもぬけの殻でして。どうやら家を捨て、何処かに逃げたものと…」

「そうか。まぁいい…。あの雌豚に似た顔が絶望に歪むその様はもう見れたからのぅ。妾は満足じゃ」

「フフッ。ツクヨミ様も大人気ない…。どちらにせよまだ童子。そのうち野垂れ死にしましょうぞ」

含み笑いでそう言ったオキナに、ツクヨミも怪しげに口角を上げた。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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