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「必ず作業部屋に……それなら見つかるかもしれませんね。」
「そうですそうです!!探しましょう黒子さん!」
希望の光が見えてホッとしたのか、先ほどまで岩のようだったポーカーフェイスをちょこっとだけ崩す黒子さん。
彼は重すぎる荷物を少しだけ下したような足取りで、玄関から廊下へと足を踏み入れた。
「大丈夫、黒子さんが探せば一発です!!絶対に見つかります!」
私が握りこぶしを作って、元気よく主張していると、
黒子さんから「Aさん、なんだかすごく元気ですね」と不思議そうに突っ込まれたので瞬時に口を閉じた。
折角スタート地点に立ってピストルの音が鳴ったところだというのに、此処で途中退場させるわけにはいかない。頑張れ私の演技力、今は月9とか、大河ドラマで主役を張れるレベルの女優になるんだ!と心の中で何度も何度も言い聞かせる。
……言い聞かせてできるならプロが必要ないのもわかっているけれど。
ううんと唸ったり頬をぱちぱち叩いている私の前にいる黒子さんは、廊下から作業部屋に入るとすぐに荷物とコートを下ろした。
早速データを探すらしい。腕まくりをすると日焼け知らずの真っ白な腕が現れる。元々有名な中学と高校のバスケ部の選手だったからか、編集者という文科系な仕事の割にはしっかりとついている筋肉。
そんな突然の肌の露出(といっても腕)に心臓がボンと跳ね上がってしまうのも仕方ない。天然って怖い。
「では探しますね。……Aさんは僕にかまわず書き続けていてください。
もし見つからなかった場合を考えて、一応書いていた方がいいと思うんです。」
「え、あ、いや……絶対に見つかりますから!保証しますから!ですから私も黒子さんの後に続いて探させてください!」
「……え、と……。なぜ僕の後に続いて?」
「うぐっ」
い、言えない。
黒子さんと別の場所を探してしまったら、黒子さんは私が探したところをもう一度探すことはないだろうから、黒子さんの後に続いて探すフリをしたいだなんて言えない……!
両手をぶんぶんと横に振り、次いでに首も全力で横にがくがく振って、はははと笑いながらごまかす。その間黒子さんは本当に困惑した顔で私を見つめていたけれど、もうこれ以上ごまかしようがないのだ。お願いそんな変質者を見るような目で見つめないでください。
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
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