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もう一度催促するが、一応彼は私の恋人なのだ。
たまぁに私のところに黒子さんと一緒にくる高尾さんが、黒子さんのことを「やっぱりお前はどうあがいてもかわいい系だよなぁ」とか、
「性格が男前だけれど顔は童顔で背もちっちゃくて筋肉もないし、女みてぇな」とお酒を片手にしゃべっていたこともあるが(その後黒子さんにお腹を殴られていた)
私的には、黒子さんほど天然無自覚でかわいい顔して、そのくせふと見せる表情が誰より男っぽいことを知っている。
しかも、昔いかつくてゴツくてでっかい巨人みたいな人達にばっかり囲まれていたからか、
その上モデルだの、御曹司だの、帰国子女だのというハイスペックばかりだったからか、かなりの無自覚。
今もそう。上着を脱いで腕をまくって、かなり必死にUSBメモリを探している黒子さんの横顔がかっこよすぎて仕方ない。
雪のような白い肌につっと流れる汗とか、いつも無表情の顔が焦りに変わっているところとか、
今の状況でこうして悶えるのも悪趣味かもしれないが、後ろでこうしてみているとやっぱり思ってしまう。
「…………かっこいい……」
「?……Aさん、もしかしてありました?」
「あ、いいえっありませんっ!!ないな〜どこだろ〜って言ったんです!やっぱりここにもないなぁっ!!」
「……やっぱりAさんは書いていたほうがいいのでは……?ほら、こうして探していると手だって痛めますし」
「うっっっぐぅっ……黒子さんっ、私の胸が大火事になるのでそれ以上優しくせんでくださいっ!!」
「え?」
ズキキキキキとかドドドドドドという謎な効果音を上げだした私の心臓をなんとか制し、黒子さんから数歩後ずさる。なんて優しくて紳士的……私の作戦のタネを全て明かして土下座しようかと思うほどに優しかった。
どこか心配そうに見つめる黒子さんの瞳から、ぐりっと首を曲げて逸らし、火照る顔に冷たい風を当てる。何度も言いますけれど大好きな恋人ですから。怒ってはいますけど好きなことには変わりませんから!優しくされたら真っ赤になるのも当たり前だ。
両手でオーバーヒートした顔を冷ますように仰いでいると、
視界の端で黒子さんが本棚の近くへと移動しているのが見えた。
本棚の一番の段を華奢な指で丁寧に探していく。一番下の段は箱に入っているハードカバーの文豪集だ。
分厚いその本たちをどかして、どかして。
そして。
ぴたりと、黒子さんの指が止まった。
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
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