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「ありがとうトト子ちゃん」
「いえいえ、こんなことで良ければいつでもやってあげるわ」
「それにAからのお願いだしね」パチンっと音が出そうな、そんなウィンクをトト子ちゃんはかましてみせた。
魚屋である[魚忠]の2階。
彼らの他にもう1人だけ、私には中学の頃からの知り合いがいる。
その人が、今目の前で私の髪の最終確認をしてくれている、トト子ちゃん。
「トト子ちゃんは行かないの?お祭り」
「んー行きたいけど、あんまり人が多すぎるのトト子好きじゃないのよね」
「チヤホヤされるのならまた話は別だけど〜」と顎に人差し指を当てながら可愛く彼女は答えた。
こういうところがぶりっ子だとか、猫かぶりだとか言われる原因なんだろうなと思う。
でも私はこれが彼女だって、“弱井トト子”だって知ってるから。
だからそんなことは全く思わない。寧ろこの可愛さと発言に何回か助けられたくらいだ。
「いよいよAにも青春が来たのね〜」
「いや、それはかなり違うと思うけど、、」
「でも男子とお祭りデートだよ?相手があの六つ子の長男ってのはどうも納得いかないけど」
「デートも違う……てか、ハッキリ言うね」
「ほんとならもっとかっこよくて、背も高くて、紳士的で、将来高収入な仕事に就きそうな人が良いんだけど……」
条件、というか理想があまりにも高すぎて私ついていけない…
てかまずお祭りデートってわけじゃないんだけどな、、
「そろそろ時間なんじゃない?」
「あ、ほんとだ」
「お見送りするわ」
「うん、ありがと」
パタパタと2人で階段を降りる。
ここからあの公園までそう遠くはない。
「A、楽しんでおいで」
「……うん、ありがとうトト子ちゃん」
「あの赤いクズになにかされたらすぐ電話してよ、飛んで行って殴り飛ばしてあげるから」
「トト子ちゃんのそれすごい痛そうだから、なるべくそうならないように私も気をつける」
下駄を履いて、トト子ちゃんに身だしなみの確認をしてもらって、魚屋の前に立つ。
「行ってらっしゃい」
「……行ってきます」
まるで家族のようなこの会話に、少し胸が綻んだ。
待ち合わせまで、あと15分。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時