トントンっとノックして/貴方side ページ4
「A〜?ご飯で来たわよ〜
A?Aっ!」
「へっ!?あ!ごめんなさい、母さん…、今行くからー!」
母「もうっ、遅く帰ってきたと思ったらぼーっとしちゃって、何?アンタ、告白でもされたの?」
「え!?ち、違うよっ!
母さんからかわないで。学院では男として生活してるんだから」
母「ふーん…、まぁ、約1年あそこに通ってて何も起きないのはないと思うけどねえ〜」
「だからっ!なんでもないって!
私は一生恋愛なんてしないのっ!」
母「はいはい、わかったわよ。そんなに怒らないでちょーだい。あ、今日お父さん帰って来れないみたいですって。2人でご飯ね」
家に帰ったら、母は夕御飯が出来たと報告して来るのに今日に限っては+αみたいにからかってくる。
いつもそんな感じだ。家だけは自由、そう言えるものなんだろう。こうやって、母と父とベーコンと…3人と1匹で幸せに暮らせるのが1番の望みでもある。
「お、どうした?ベーコン…ちょっ!?
ベーコン!?」
母「いつ聞いても、ベーコンって名前完全に美味しそうにしか感じられないわ」
「ワンッワンワンッ」
嬉しそうに飛びかかってくるベーコンは私の顔を遠慮なく豪快に舐めてくる
そう、ベーコンは私が名付けたゴールデンレトリバーの名前だ。
ある雨の日、此奴は生きる為にゴミをあさっては何かを食べていた。そう、此奴は野良だ。しかも子犬のまま捨てられてしまった犬。
いつ衰弱死しても可笑しくないと獣医にも言われてたほど危険な状態だったのを今でも覚えていた。
色んなことがあって、私は全てから逃げたした日、彼はこちらに擦り寄ってきた。
普通ならありえないと思っていた、足付近に小さく動く鼓動と、ほんの僅かな温もりが私を勇気づけたのも同じだ。
『寒いね、冷たいね……、みんな…みんな私から離れていくのだろうか…、ただ生きているだけなのにこんなにもッ…切り刻まれなきゃ、いけないんだっ…!!』
雨と一緒に小さな愚痴を零していた
ほんの少しだけのしょうもない愚痴を
雨が私の流す雫と重なる様に沢山落ちていく。
それは涙の雫か、雨の雫か、どちらか分からないほど
一方強く降り続く雨のせいで、空耳が聞こえた。
[一緒に居るよ]
誰もいないその場所に私と此奴しかいなかった時、此奴が喋ったのかと思って私はぎこちない動きてこいつを抱きしめた。
赤子のように泣き叫んだ。馬鹿みたいに、がむしゃらに何かを壊したいと思っていた気持ちが消えるほど泣いていた
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作者名:ハクリン☆(中二病JC) | 作成日時:2019年1月28日 18時