202話 ページ5
「いい加減にしてよ...もうやだよ。」
その時、びゅうっと強い風が吹いた。
どういうことか、今の今この瞬間まで私は私の家ににいたというのに、気が付けば私は屋外にいた。漸くおかしな空間から、現象から抜け出せた。そう思ったのに、それも束の間だった。
「私、あなたのことが嫌いなの。」
突然聞こえたその声に、その言葉に、思考が停止した。
「嫌ああぁあ!!」
それに次いでに聞こえる高い悲鳴。私は耳を塞いだ。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
バンッと、勢いよく扉が開かれた。その扉からはカラフルな頭をした人達がぞろぞろ入ってくる。
また、『あの日』だ。
「ああ!もうやめて!」
それでもこの不可思議な現象が止まってくれることはない。
彼らからの冷たい視線を私は浴びる。
ああ、さっきまで皆といたのに。ようやく、見つけてもらえたのに。また離れていっちゃうの?また、あの辛くて苦しい日々を送らないといけないの...?
「Aちゃんがいきなり...」
その時耳に入ってきた声。その声で、私の中の何かは壊れた。
許さない
私の中に、私の知らない何かが溢れ、溢れ出した。
いや、正確には知っている。ここ最近になって時々感じるようになったこの感覚。私の中で何か分からない黒くてドロドロした何かが蠢いている。
何もかも全部彼女が始まりじゃない。
私は彼女に憤りを感じた。
気持ち悪い、ぐちゃぐちゃにしてやりたい、私と同じめに合わせてやる、苦しめ。
自分だけ被害者面しやがって。
そんな私の思いが伝わったのか、
カラフル頭の傍にいた彼女がぐちゃぐちゃに、どろどろに溶けだした。
どんどんと、どろどろと、原型が分からなくなるくらいに。赤い何かを流しながら彼女は崩れていく。
「はぁっ...はぁっ...ひっ!」
そして私はふと我に返った。
さっきまで彼女が立っていた場所には、それが何であるのか、何であったのか、原型すら保てていないよく分からないただの肉の塊と、私を見つめるカラフル頭たちだった。
「何よ...何よその目!全部私悪いの!?あんたたちだって、助けてくれなかったじゃない!同罪じゃない!私も、あんたたちも!」
しかし、私が何と言おうとも彼らからの返答はない。私がひとりで叫んで、ひとりで狂っているだけだ。
そして、視界は再び暗くなった。
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彗(プロフ) - さっき読みはじめて今読み切りました。号泣です。素敵な作品をありがとうございました (2020年2月23日 1時) (レス) id: cf7fdf27c9 (このIDを非表示/違反報告)
みのもんた(プロフ) - ぁ、、あぁ( ;∀;)愛ちゃん、、、うわぁぁああ(TTTTT□TTTTT)もぅいい話すぎますよぉ!!なんかもぅすごい引き込まれました!!泣才能ありますよ!!まじで!そーゆぅアニメ見たいですほんとに。ぁあー読み終わっちゃったのがすごく残念。。これからもファイトです! (2017年10月22日 15時) (レス) id: fd2eec93e7 (このIDを非表示/違反報告)
すふぃ - あぁ、目からポカリが、、、、 (2016年10月23日 18時) (レス) id: 38e1760aba (このIDを非表示/違反報告)
夕凪*゚ - すごくいい作品で一気に読んでしまいました…!!本当に感動で涙がとまりません( ; ; )素敵な夢をありがとうございました!!! (2016年4月3日 1時) (レス) id: ca1c6f1dc0 (このIDを非表示/違反報告)
白雷(プロフ) - すごくいい! (2015年8月22日 11時) (レス) id: 55569623d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2014年2月28日 19時