嘘つきなオレたち【黒バス】 (ページ7)

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Episode5 ページ7

オレってこんな女々しいやつだったか?

「キモチワル。」

全部…テメェのせいだぞ。
他人のフリをし続けてればこんな思いをしなくて良かったのに。

自分のキモチに気づくこともなかった。

…いつだって知らないフリをしていたのはアイツだった。
それを何でオレは知ってた?

オレがアイツを目で追ってたからだ。

そう、いつだってアイツは知らなくて
オレは知っていた。

「…今更ふつーなんて望めねェだろ。」

もうオレはバスケ部じゃない

アイツと対等と呼べる程の能力は無い

仲間でも友達でも無い

「ただの…他人じゃねーか。」

オレ達がもし、普通だったなら…。
立場なんて気にせずに隣で笑って
過ごしていられただろうか?

…ねェな、ありえねぇな。

オレ達が普通じゃなかったから。
一緒に居られない存在だったからオレ達は
こうして息を潜めて、素性を隠してバスケをしている。

あの日が無ければ、こんな関係はなかった。

確かにあの日まで元仲間で、他人だった。
じゃあ…じゃあ今は何だ?

「…たいして変わんねーよなァ?」

そうだ…何にも変わっちゃいねェ。

だってアイツとは他人なんだから。

オレもお前も知らないヤツなんだから。

「…この関係が……続けばいいとか…思っちまっただろ。」

誰にも知られずに、でもオレ達は知っている。
この関係が続けばいいと思う一方で、
壊れてしまえばいいとも思った。

学校では見せない時折見せるその優しい笑みを
楽しそうにバスケをやる表情を、

＿＿＿＿もっと見たい、なんて。

知らないお前を知る度に、普段のお前が
偽物のように思えて。
それがイヤで、でももっと見ていたくて。
本当のお前を知ってるのはオレだけなのかも
って思ったら少しだけ優越感に浸った。

オレの悪い癖だ。

アイツらが知らないお前の表情を見る度に
心の何処かで思う。

「オレだけが知ってればいい。」

と、独占欲が内側から沸々と湧き上がる。