Episode2 ページ4
オレらしくない言葉に、オレらしくない行動に
何を今更動じてんだよ?
周りの言葉に流されたのはお前らの方だろ。
「…お前、まだ時間あんのか?」
「まぁ…あるが何かあるのか?」
「なら付き合えよ。
1or1やろーぜ…時間あんだろ?」
「………構わない。」
単なる暇つぶしだった。
ただの気まぐれだったんだ。
キライなお前を誘ったのは本当にただの
気まぐれだった。
お前もそうだったんだろ?
互いに知らないフリをしてバスケをして、
馬鹿みたいに本気になって。
日が沈むまでぶっ通しでやり込んで。
「強ぇな…ホント。
マジ腹立つ、覚えとけよチビ。」
「チビじゃない。
…まぁまぁお前もやるようだが。」
「なんだよまぁまぁって。
上から言いやがってクソが。」
「ふん。」
どんなに顔を隠しても、知ってるやつだって
分かるのは当然だろ。
何度も見てきたその背格好に
何度も聞いたその声に
何度も浴びたその視線に
オレが気づかないわけねーだろうが。
「…次は勝つ。」
「望むところだ。」
もう二度と会いたくないのはお互い様なのに
オレ達は次の約束をする。
ダイキライな奴だけど、楽しかったんだ。
負けっぱなしでムカつくってのもある。
けどそれ以上にお前とやるバスケが
楽しくてしょうがなかったんだよ。
「じゃあなおチビさん。」
「またな木偶の坊。」
名前も交わさず、然しそれを暗黙の了解
としてオレ達はひと夏を迎えることになる。
オレとお前、先にやらかすのはどっちだろうな…なんて。
この関係が続けばいいなんてオレは
思ってなんてねぇからな。
＿＿＿＿思っちゃいけねぇ感情なんだ。
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作者名：唄詠 | 作成日時：2019年6月29日 1時
