Episode12 ページ14
そしてまたオレ達は何事も無かったかの様に
学校生活を送る。
ＩＨ直前だからか少しピリピリした空気が伝わってくる。
「あれぇ?崎ちんじゃ〜んお久ぁ。」
「アツシ…何やってんだお前。
この時間部活だろォが?」
「あー、うん…何かつまんなくてさ〜。
正直今までは赤ちんには勝てないと思ってた
から参加してたけど、今の俺なら勝てると
思うんだよね…俺より弱いやつの命令聞く
必要無いってわけ〜。」
「それでアイツは何も言わなかったのかよ?」
話を聞く限りじゃあ既にキセキは崩壊
しつつあるとか。
ダイキの覚醒に続いてアツシにシンタローも
己の内に秘める違和感を覚え始めてる。
否、もう理解してるから現状こうなんだろう。
リョータには足掻けよなんて言ったくせに
それを今、少しだけ後悔してるオレが居た。
「顔ぐらい出しといた方がいーんじゃねェの?
アイツがキレたらヤバいだろ。」
「そだね〜もう少ししたら行く。」
「サボるなら上手くサボれよ。」
「うん、ばいばい崎ちん。」
足掻け…本音だった。
苦しんでしまえと嫌いになってしまえと
思ったから出た言葉だった。
なのに今は＿＿＿＿。
何だろうか、この胸のざわめきは。
嫌な予感が警鐘のようにガンガンと脳内に響く。
まるで…積み上げてきたモノが壊れるような。
何もかも無かった事になってしまうかのような、
そんな無慈悲にも冷酷で無情な悪夢が起こる
ような気がしてならない。
「＿＿＿＿。」
校門を出る直前、足を止める。
気が気でならない。
別にもうバスケ部とは縁を切った。
アイツらがどうなろうが知ったこっちゃねェんだ。
じゃあ何でオレは立ち止まったまま動かない?
「…何でもクソもあるかよﾂ!!」
そうだよ…お前のせいだよ。
この警鐘も予感も全部お前のことだ。
「情なんて…捨てたはずだったのによォ。」
結局オレは引き返す。
来た道をダッシュで戻る。
「……赤司…!!」
無意識にもアイツの名を呼んでしまった
事すらも忘れて、ただの予感であって欲しいと
要らない心配であって欲しいとと思うだけ。
それを確かめるだけだ。
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作者名：唄詠 | 作成日時：2019年6月29日 1時
