百合の花を食い破る【鬼滅の刃】

秘密蜂☆ ページ4

「あ、おいしい」


「でしょ？気に入ると思ったの！あ、こっちも美味しいのよ！」



そう言って甘味処でぜんざいを二人で頬張って子供のように笑う。



甘ったるいあんこが唇についても放って食べる。




わざとだって気づいている蜜璃ちゃんは微笑むと、ちゅ、と口付けた。



「だめ、人が見てるから」



「わざとでしょ？わかってるんだから！」




口ではそう言うけれど。


接吻の、あの、綿菓子を唇に付けたような甘さだけには慣れない。




私も蜜璃ちゃん程ではないけれど食べること、甘いものは特に好きで。




菓子では感じることのできないあの、チクリとした痛みも同じくらい好きだった。





「あ」




けれど、そのチクリとした痛みはズキズキと酷い痛みに変わる。





「あ！伊黒さん！」



彼女はある男性に駆け寄った。




蛇が獲物を狙うような瞳に怯んで残りのぜんざいを頬張った。



惚れっぽい彼女のことだから。





いつかは。


本当に。





殿方を見つけちゃうのかな。




男性に心的外傷を持っている私だから。




いつか。





喉奥に残る苦味はまだ消えない。

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