兄さん攻略法２

攻略法48↓ ページ6

樹side


どうしよう気まずい。


少しの沈黙。


「樹ちゃん。僕ねあの日をずっと後悔してるんだ。」


沈黙の後に遊木くんが話す。


「あの日って？」


「昔公園で樹ちゃんが泣いてた日。」


え？あの日を後悔してる？



「ど、どうして？あの日、あの場所で手を振り払ったのは私だよ？！そのまま公園から逃げちゃったし……」


あの日、遊木くんは何も悪くない。後悔する要素なんてないんだから。


「僕も最初は悲しかったんだ。」


「ご、ごめん。」


「ううん。でもその後に僕どうして追いかけなかったんだろうって思って…あの時諦めないで樹ちゃんを追いかければ良かった。そしたら、もしかしたら泉さんとの関係も少しは変わったかもしれないって」


そんなこと考えてたなんて……


「僕はずっと後悔してきた。だからね樹ちゃん。」


「うん。」


「今度は、今度こそは絶対に間違えないよ。辛いことがあったら僕も相談に乗るし、泉さんとの関係の事で悩んでるなら……が、頑張る。だから、僕に君を救わせて下さい。」


そう言って差し出された手はあの日とは全く違った。

あの日はまだ小さくて、私と同じような手で少し頼りなかったけど……

今はもう成長して男の人だと思わせる手で、昔のような頼りなさは感じられない。



「(ああ、私は)」


私を見てくれる友達がいて、私の事で悩んでくれる幼馴染がいて


「(本当に……幸せ者だ)」



「私の方こそ、手を振り払ってごめんなさい。もう一度、その手を掴むことが許されるなら……私を助けてくれますか？“ゆう兄”」

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