5話 ページ6
｢あ、さっきの子｣
｢ちっ、ついてきたのか｣
私を見ると、元右腕怪人は不機嫌そうに舌打ちを打つ。
すぐに追いかけたら見失わずに済んだ。
｢私だって巻き込まれた以上、事情は知りたいんです｣
元右腕怪人に詰め寄る。
両親を探しに来たはずなのに、変なことに巻き込まれてしまっている。
初めてアンデッドを見た日から、私はトラブル体質になってしまったのかもしれない。
｢それに、これ欲しいんですよね｣
｢お前…！｣
元右腕怪人に見せたのは銀色のメダル。
さっきのやり取りで、1枚だけ手に入れることができた。
｢教えてください｣
元右腕怪人は苛立ちを隠そうともせず、私の腕を力を込めて握る。
爪が食い込んで痛い。
｢交換条件のつもりか？
俺が無理矢理奪えば済む話だ｣
腕に液体が伝うのを感じて、血が流れているのだとわかった。
でもこのまますごすご引き下がるほど、私は往生際は良くない。
｢たぶんこんなことしてるよりさっさと話す方が早いですよ｣
信号機ライダーさんが割って入ろうとしたとき、元右腕怪人は私から手を離した。
｢…ちっ｣
どうやら私の強情さに諦めたらしい。
さっきより苛々しているその様子を見て、心の中でほくそ笑んだ。
｢ところで信号機ライダーさん｣
｢信号機じゃない、オーズだ｣
男の人の方を向いて言うと、元右腕怪人が訂正を入れたので言い直す。
｢じゃあオーズさん｣
｢俺の名前、火野映司なんだけど…｣
今度は男の人が訂正を入れてきたのでもう一度言い直した。
｢じゃあ映司さんですね｣
そう言うとどちらも何も言わなかったので、そのまま話を続ける。
｢あなたが何者なのかと、さっきの怪人が何なのか教えてください｣
アンデッドじゃないのならばあれは何なのか。
そして映司さんが本当にライダーなのか。
その2つさえ知ることができたら十分だ。
｢それ今アンクに聞いてたところなんだ｣
映司さんは元右腕怪人、もといアンクを指差す。
｢…アイス好きなんですか？｣
さっきから思っていたのだが、アイスは一度に何本も食べるものじゃないと思う。
｢美味いからな｣
Yesということだろう。
1本食べ終えて、また更にもう1本を食べ始めている。
｢これ、使えるかも｣
ぼそりと呟く。
いいことを知った。
｢あ？｣
アンクに聞き返されて、愛想笑いを作る。
｢なんでもないです｣
にこぉと笑ってまだ私の手の中にあるメダルを握りしめた。
このトラブル体質は、私の性格も相俟っているのではないのだろうか。
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
