4話* ページ5
少しの間そうしていると、どこかから数えきれないほどの数の鳥の形をした機械が飛んできた。
そして落ちているメダルを拾っていく。
元右腕怪人がその中のひとつが持っているメダルを奪おうとするも、逃してしまった。
｢待って！｣
まだ残っていたひとつを捕まえてメダルを力を込めて引っ張ったけど、結局逃げて行ってしまった。
それを見ていた元右腕怪人がつかつかと歩いてきたと思ったら、私の顔を掴む。
｢おい、こいつ誰だ？｣
私の方が背が低いから、見上げる形で元右腕怪人を見る。
｢今のに巻き込まれちゃったみたいなんだけど、名前は…｣
男の人が私に目線を向ける。
｢…剣崎A｣
知らない人に名前を教えないようにとお兄ちゃんに言われているが、致し方無い。名乗らない方が状況が悪化する。
とりあえず、顔を掴まれていると喋りにくい。
｢ガキのくせに度胸だけは一人前だな｣
誉められているのだろうか。
いや、たぶん違う。
｢お前いったい何だ？｣
元右腕怪人は私を睨み付ける。何故か警戒されているらしい。
｢何って…人間ですけど｣
質問の意図が見えないからこう答えるしかない。
けれど元右腕怪人は欲しい返事を得られなかったらしく、今度は私の胸倉を引っ張って顔をまじまじと見る。
｢普通の人間のガキならこんなに冷静でいられるはずがない｣
それでようやくどうして自分が怪しまれているのか理解した。
確かに、あんな超常現象を目の前で見て騒がない人間はそうそういない。私だって最初はぎゃあぎゃあ騒いだ。
｢世界中にひとりぐらいならいるんじゃないんですか｣
慣れているから、なんて言えるはずもなく、適当に誤魔化す。
｢ふん、まあいい｣
ぱっと急に手を離されたものだから、よろけてこけかけた。
元右腕怪人はどこかに向かって歩き出す。
もうひとりの刑事さんも、この惨状も放ったらかして。
｢あ、おい待てよ！｣
男の人は元右腕怪人を追いかけていく。
私はポケットの中の携帯電話を握りしめた。
アンデッドじゃない、よくわからない頂上現象がここで起こっていることはとにかくわかる。
｢…お兄ちゃんに連絡入れるのはやめとこう｣
アンデッドじゃないのなら、余計な心配はかけさせたくない。
伊坂が作っているライダーシステムのせいで大変な状況の中、私はここに来ているのだ。
これ以上の迷惑なんてかけられない。
ひとりで不安になりそうな気持ちをなんとか抑えて、私もふたりの後を追いかけた。
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
