32話 ページ33
一緒に過ごし始めてから早数日。
｢あら、この間の…！｣
｢格好…｣
この間アンクが屋根に座っていた店、クスクシエに入ると、女の人が確実に日本のものではない異国の服装で出てきて思わず呟く。
｢その子は？｣
映司さんが女の人に私のことを説明している間、お店の中をじぃっと見ていた。
｢…というわけなんです。Aちゃんも一緒にお店のお手伝いをさせてもらえませんか？｣
｢若いのに大変なのねえ…！
勿論いいわよ！｣
千世子さん？が私の頭を優しげな表情で撫でる。
｢…何話したんですか｣
何か誤解を受けている気がするのは絶対に気のせいなんかじゃない。
私が聞くと、映司さんが小さな声でさっきの話の内容を説明してくれた。
｢Aちゃんは俺の気の遠くなるくらい遠い親戚で、今は当てがなくて俺が面倒を見ているってことにしておいたんだけど…ダメだった？｣
｢…何ですかその捨子みたいな設定｣
わざわざ私のためにつれて来てくれた人に対する態度ではないが、何だか嫌だ。
｢一番無難かなーって…。って嫌だった？｣
他にあっただろうに…とぼやく私の顔をのぞきこむ。
｢…文句を言える立番ではないので｣
嫌だとは言えないけど嘘をつくのも好きではないので遠回しに言ってみた。
誰からどう見ても失敗であるだろうけれど。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊
｢Aちゃん、これ運んでくれる？｣
｢はい！｣
手伝いを始めて3日目となると、いろんなことに慣れてくる。
｢お待たせしました｣
毎日いろんなお客さんがやって来る。
なかなかに繁盛しているようだ。
｢偉いね、お家のお手伝い？｣
｢そんな感じです｣
一番よく聞かれるのはこれ。
そんなに小さく見えるだろうか。
私の年くらいなら家の手伝いをするのは当たり前のことだと思う。
｢学校は休んでるの？｣
二番目に多く聞かれるのはこれで、いつも返答に迷う。
今は午前の時間帯で、子供は学校にいる時間。私がここにいるのはおかしい。
｢Aちゃん、シフト午後からに変える？｣
それをいつも見ていた千世子さんが私にそう提案してくれた。
｢それでいいのならできれば…｣
調理場で野菜を切るのを手伝いながら返事をする。
千世子さんが水を運びに行って、私も野菜を切り終えたので机を拭くために布巾を持って調理場を出た。
｢ほらほら、お侍さんの弟子よ｣
出てくるなり意味のわからない説明をされて、映司さんを見る。
今日は江戸フェアで、千世子さんは忍者、映司さんは侍、私は大人の着物を無理矢理着たような格好。
まさか私までそんなキャスティングをされているとは。
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
