22話* ページ23
人間は俺達が封印されている間に進化した。
どんな情報でもより速く、簡単に手に入る。
｢…あのガキ、これで懲りるといいがなぁ｣
何をしても怖がらない、驚かない変なガキ。
だからこそ駒として使える。
最初は不気味ささえ感じたが、上手く使えばかなり便利になる。
あいつは俺を制御しようとしているのだろうが、逆に俺にいいように使われていることに気づいていない。
メダル集めを手伝うから自分の質問答えろと言い、俺はそれに答えた。
メダル集めを手伝うと言わせたも同然だ。
カザリがダメそうなら、あいつはオーズ同様存分に使ってやろう。
｢…アンク｣
いろいろと考えていると、ガキの声が下から聞こえた。
まさか自力で逃げ出してきたのか。
グリードであるカザリが人間、しかもこんな軟弱なガキに遅れをとるなどあり得ない。
木の下を見ると、息を切らせて座り込んでいる。
｢お前、何をされた？｣
カザリに監視役でも命じられたのかもしれない。あいつはそういう奴だ。
｢何も。玩具にされるかと思ったけど、逃がしてもらった…｣
嘘か本当かわからないが、カザリに興味を持たれたのは確かなようだ。
｢どっか行ってろ。邪魔だ｣
俺の監視をこいつにさせているのなら、遠ざけておいた方がいい。
鬱陶しくて気が散る。
｢安心してよ。カザリにアンクを見張っとけなんて言われてないから｣
そう言って木に登ってくる。
｢なんでそれを…｣
俺の考えていることをこいつは当てた。
｢だってアンクが今更私を追い払おうとする理由なんてそれしかないでしょ｣
自分のしつこさを自覚しているらしい。
確かに、近づいてくるのをいちいち追い払うのが面倒になっていた。
馬鹿は馬鹿でも、頭がいい馬鹿のようだ。
｢降りろ邪魔だ｣
俺が座っている枝に足をかけようとするが、明らかに定員オーバーだ。
｢映司さんどこか知らない？｣
右手だけでつかまっているくせにその手を離して俺の服を掴もうとした。
が、掴みそこねて手が宙をかく。
｢げ｣
ドスンと鈍い音をたてて地面に落ちた。
｢…お前やっぱり馬鹿だろ｣
考え無しなのか考えているのかよくわからない。
｢馬鹿で結構。映司さんどこ？｣
｢知るか｣
ガキはあっそと言って立ち上がり、携帯を開ける。
｢うわ、また溜まってる。音消すんじゃなかったかな…｣
どうせ親からの大量のメールでも見ているのだろう。
家族がいないわけでも放っておかれているわけでもなさそうだ。
そもそも、映司もこいつが誰かからのメールを見ている姿を見たはずだ。
｢どっちにしろ、俺にはどうでもいいことだがな｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
