14話 ページ15
｢私？｣
質問にというより、聞いてきたことそのものに驚く。
さっきまで私と目を合わせるのも嫌そうにしていたのに、まさか自分から話しかけてくるとは思わなかった。
お前以外に誰かいるか？と馬鹿にしたような目で見られて、ちょっとイラっとくるが何も言わないでおく。
｢映司はそういう性分なんだろう。あの馬鹿さ加減には呆れるがな｣
まあそれはそうだよね、と私も苦笑いをしていると、えり首を掴まれた。
｢だがお前は違う。
俺に苛立ちながら、目は冷めていた｣
今は私がアンクの言っていることがよくわからない。
｢お前、本当に人間を守りたいだとか思っているのか？｣
そのとき、初めてアンクと真っ直ぐ目を合わせた。
｢それは…｣
｢おーいアンク…ってAちゃん！？｣
また映司さんに驚かれる。
…今日一日で何回｢また｣を使っただろうか。
｢腕、大丈夫ー！？｣
｢もう大丈夫です！運んでいただいてありがとうございました！｣
屋根の上から誰かと会話するなんて初めてのことで、少し楽しい。
降りるために左腕を使おうとしたら、腕を掴まれた。
｢おい｣
アンクは私の手を掴んだまま飛び降りる。
｢うわわわっ！？｣
ギリギリで着地した。お尻から落ちるのは痛いし、これ以上怪我は増やしたくないのでよかった。
｢アンク！危ないだろ！？｣
映司さんがアンクを叱咤するが、アンクは私があげたアイスを食べながらそれを受け流している。
｢今の、もしかして…｣
｢Aちゃん、そんな腕で走り回ったりしたらダメだよね？｣
映司さんのお説教が私にまで向いて、怒られながら一緒に歩いた。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊
木上にいるアンクの服をちょいちょいと引っ張る。
｢あ？まだ何かあんのか？｣
もちろん今私がいるのは木の枝の上だ。
映司さんにバレるとまずいので早口で喋る。
｢ねえ、さっき私が降りるの手伝ってくれたの？｣
そう聞くと鼻で笑われた。
｢勘違いするな。ぎゃあぎゃあ騒がれるのも面倒だし、借りを作るのも面倒だったからだ。
お前のためじゃない｣
さっさとどっか行けと言われて木から降りる。左腕を極力使わないようにさえすれば全然平気だ。
｢そうだとしても、ありがとう｣
聞こえるように言って、木の幹にもたれかかるった。
照れ隠しとかじゃなくて、本当にそんな理由なのだろう。
私のためじゃないということもたぶん本当。
でも結果的に私は助かったんだし、感謝はすべきだ。
やっと携帯を開けて、たまりにたまったメールを片っ端から見る。
｢大丈夫、上手くやれそう｣と返信しておいた。
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
