13話 ページ14
｢ひとつ聞いていい？｣
｢答えなくてもいいのならな｣
｢…この貧弱右腕｣
｢何か言ったかお前｣
｢何にも｣
バチバチと火花が散りそうな雰囲気になってくる。
気が合わないのは火を見るよりも明らかだ。
こんなことをしていては話が進まないので下らない言い争いはストップさせる。
｢どうしてそんなにセルメダルが欲しいの？強くなりたいから？｣
それ以外に何か理由があるのだろうか。
あるのなら気になるし、ないのならアンクは嫌な奴ということで終わりだ。
鬱陶しそうに私を見るアンクに、｢私の強情さ知ってるでしょ？｣と言って左腕を見せる。
すると渋々といった様子で答えてくれた。
｢それもあるが…セルメダルは使えば消費される。俺達は常にセルメダルを集めなければならない｣
｢なくなるとどうなる？｣
ならばひとつもない状態になったらどうなるのか。
たぶん、困ったことになるのだろうが具体的に何が起こるのだろう。
｢ひとつじゃなかったのか？｣
こんなこともあろうかと、道中で買ってきたアイスを袋ごとアンクに手渡す。
｢答えてよ。それによってはメダル集めに協力してあげるからさ｣
またアイスを食べ始めると、さっきより機嫌がよくなったのか面倒そうにしながらもまた教えてくれた。
｢体がなくなるってことだ。極端に減れば、動けなくなる｣
さっきも自分でまとめていたけど、意味は細胞。
｢…セルメダルが細胞なら、コアメダルは心臓とか、魂ってことか｣
アンクはそれを棒とアイスでたとえた。
棒がコアでアイスがセル。棒がなければアイスはくっつかない、と。
｢…右手元に戻して出して｣
怪訝そうに右腕を元に戻すアンク。
その腕にそこそこの量のセルメダルを落としていく私。
｢お前、どこでこれを…｣
｢さっきだよ。あんなにいっぱいあったら拾いきれないと思って拾っといたんだよ。
交渉用にね｣
こう見えてもちゃっかりしているのだ。
使えるものは使わなければ勿体ない。
屋根の上に落ちてしまった分を拾ってもう一度アンクの腕に落とす。
当のアンクは私をじっと見て動かない。
｢セルメダルがないと生きていけないってことは、セルメダルが命みたいなものだよね｣
アンクがわけのわからないという顔で私を見ている。
表情がころころ変わって人間みたいだ。
｢そんなに大切なものを半ば脅しみたいなものに使って悪かったとは思うけど、自分の命を大切にするなら他の人間の命も大切にしなきゃ｣
笑顔でそう言うと、今度はアンクが私に質問してきた。
｢じゃあお前はどうなんだ？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
