52_生意気な女(宮地side) ページ5
一件の店に入った。
この女と一緒に。
本来なら誘われても断って雨の中待ち続けるが、
伊月がその店で待ってろと言うならしゃーない。
「ただいまー。」
そこは、引き戸式の、和が基調とされた定食屋だった。
昼時とあって、客も多く賑わっている。
「・・・ただいま？」
何言ってんだこの女。家かよ。
「看板見なかったんですか？」
「あ？」
外に出て、その看板を確認する。
「『夏目食堂』・・」
そういう事か。
「いらっしゃい＿＿＿＿＿って、あら？」
台拭きをしていた店主らしき女性が俺達を見や否や、不思議そうな顔をした。
「雪・・と、そちらの方は？」
如何にも定食屋という感じの、ふくよかで優しそうな女性。
「特に何の接点も無い人。」
「・・(怒)」
まあ、そう言われても否定しねーけど・・(怒)
「そう？あ、初めまして。この店の店主で、雪の母です。夏目琴代(ﾅﾂﾒ ｺﾄﾖ)と言います。」
「えっ、あ、はい・・宮地で「あなた、随分背が高いのね〜？」
・・・なんだ。
「お席まで案内しますね。えっと、宮本君？」
「宮地です。」
この女とは正反対で、
明るく柔らかい雰囲気の人だ。
「母ちゃん"は"良い人そーだな。」
「"は"って何ですか？」
「そのままの意味ダケド」
似ても似つかねえな。
「宮地さんも、良い人そう。」
「・・はい？」
「そのままの意味ですケド。」
マジ何なんだよこの女・・
さっきまで、俺を『馬鹿正直』などと侮辱してきたくせに。
「先程は、失礼な事を言ってすみません。でした。」
「・・・」
今度は急に誤り出した。
その棒読みと、取って付けたような『でした』には思う部分があるが。
「まあ、気にしてねーけど。」
「そうですか。ところで小林Aの何処に惚れたんですか？」
「言った側から失礼発言かよ(怒)」
実は悪い奴じゃないかも・・
と思ったが、それは一瞬にして打ち消された。
「逆にあんたは何故そこまでアイツを嫌悪するんだよ？」
「質問に質問で返さないで下さい。」
「お前、マジで生意気だな(怒)」
顔以外良いとこ無いんじゃねーのかな、
この女・・。
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作者名：ぴこ | 作成日時：2018年3月10日 18時
