61_コーヒーゼリー ページ14
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俊から抱き締められている。
「ごめん、A…」
一瞬、「?」となったけど
今のこの行為に対する「ごめん」なのだと
自分で勝手に解釈した。
普段の俊に対してだったら、
こんな事された直後突き飛ばして
「雪ちゃんに謝って!」なんて説教するかもしれない。
だけど、
俊はその雪ちゃんにフラれた直後。
加えてその元凶は私だから、
今の俊に対して、抗う権利が私には無いんだ…
「…A、俺は」
「……」
俊、少し手が震えてる気がする。
抱き締める力も、より強まって
そっか、フラれたショックが大きいから…
「コーヒーゼリー、あるよ」
「え?」
背中に回された腕の力が徐々に弱まっていく。
「エリちゃんから貰った。一緒に食べよ?」
「…あ、うん。いやでも…」
「1回上がった事あるでしょ、ほら靴脱いで」
思えばこの部屋に上げた事のある男の人って、
宮地さんと俊だけだ。
(バカ兄貴と山口さんはノーカンとして)
「はいどうぞ」
「少しは片付けてから俺を入れようよ…」
「え…」
持ってきたコーヒーゼリーをローテーブルに置き、自分の生活居住地を見渡してみる。
あ、やだ。
「ごめんごめん。雨だったから洗濯物中で干すしかなくて(苦笑)」
「そうだけど、」
慌てて掛けてあったハンガーごと布団の中に隠す。
なんか、色んな意味で恥ずかしい・・
「几帳面そうに見えて、案外ガサツだよね」
「はは…」
"異性を部屋に上げる"という感覚が驚くほどに欠如していた自分に反省する。
だって俊だし…みたいな所はあるけれど。
「これ美味いね。どこの?」
「知らない」
「Aは食べないの?」
「食べるよ」
「なんで宮地さん振ったの?」
「…!!」
一問一答の流れで答えさせようとしたな…
「昨日の件は多少Aに非があったとして、宮地さんは何も関係無いんじゃないの?」
「・・・」
多少じゃなくて、全部私に非があるけど
そうだよ。
俊が言ってる事、正しい。
「だから、逃げちゃったの。」
「は?」
「私散々宮地さんに迷惑かけてきた。でも宮地さんは私の事好きだって言ってくれた。」
本当に、心が綺麗な人だから。
「私は宮地さんに甘えすぎてた。どんな事しても、私の事好きでいてくれるって思ったから。」
そう。
「こんな私、宮地さんと釣り合いようがないって悟ったの。」
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時