赤司がホイホイだった話88 ページ7
青峰side
四時に設定していたアラームがなり響くのと同時に、猿が金切り声をあげた。
鼓膜を耳障りに揺らすその声は、喉もないはずなのに一体どこから発声しているのだろうか。
何事かと思って猿の姿を視界に捕らえる、そしてすぐに目を細めた。
眩しい、それが感想だった。
猿の体に恐らく日の光であろうものが降り注ぎ、苦しめている要因となっているようだった。
やがて猿はその場にうずくまり、だんだんと小さくなっていった。
元の原型を思い出せないほどに小さくなると、最後に残ったのは乾いたミイラだった。
俺は暫くそれを茫然と眺めていたのだが、先輩がそれを新聞紙で拾い上げて台所へと向かう。
そして無言でコンロに火をつけると、包んだ新聞紙ごとそれを燃やした。
炎に照らしだされた先輩の顔は、心なしかどこか辛そうに見えた。
もしかしたら、あれを燃やしてしまうことに何らかの罪悪感を感じているのかもしれない。
だとしたらそれは筋違いだ。
あれにどんな心があろうとも怪異である事実は変わることはない。
怪異とは、人の念が生み出した化け物だ。
存在していいものではない。
全てが灰になったのを見届けてから、先輩がぼそりと呟いた。
(貴「…もう少し、明るくなってから帰ろうか」
俺はその提案に無言で頷いて、残った灰を片付けるのを手伝った。
赤司ももう大丈夫だろう、のっそりと起きだして「額が痛い」なんて言っているんだから。
後は、帰ってあいつらに謝ればいい。
帰れなかったのは赤司のせいだと言えば、誰も何も言わないだろう。
そう勝手に決めつけて、確信を得た。
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海月 - コドモアソビでしたっけ?あれはつくった曲ですよね!? (2018年3月31日 13時) (レス) id: 534fdfd1d0 (このIDを非表示/違反報告)
影 - メッチャ面白いです!ギャグも入ってるしホラーはちゃんと怖いw続き楽しみにしてます! (2015年10月26日 18時) (レス) id: 1fa7448f4f (このIDを非表示/違反報告)
涼ースズー - 私もゾンビ狩りしたいです!!! (2015年9月30日 22時) (レス) id: b08690dd4e (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - どうでもいいコメントしていいですか?← 幼児ココアよりアンパンマンカレーのほうが美味しいですよ← (2015年9月24日 22時) (レス) id: 923a1e5d93 (このIDを非表示/違反報告)
novel - 初めまして!すごく面白いです!早く続きが見たいです!更新、頑張って下さい!応援してます! (2015年9月9日 23時) (レス) id: 5956e8d0c6 (このIDを非表示/違反報告)
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