9話 なんでもないでふ ページ9
最後に集合し、試合の感想や入部届の話などをしてもらった。一年生達は明日本入部届けを貰えるそうで、マネージャーから受け取るようにとのこと。今日は体育館に持ってきていないそうなので、私は明日朝一番に学校に向かい監督から入部届を受け取らなければならなくなってしまった。
監督からの話も終わり、今日の練習は終了。
あざっした!!!と挨拶をする部員たちを真似て、私も挨拶をし頭を下げる。
部員たちがストレッチをしている間にボトルなどは洗ってしまったから、後は部室に持っていくだけ。空になったボトルを持ち、部室に向かおうとすると笠松先輩に声を掛けられる。
「おいA。これ明日一年に渡しといてくれ」
『なんですかこれ?』
「ああ、ジャージとTシャツ、あとエナメルの申込用紙。お前のもあるから」
『わ、私も着ていいの!?...あ、着ていいんですか?』
私がそう言うと、笠松先輩は吹き出して、頭をポンポンと撫でた。
「ははっ、お前もバスケ部なんだから着てもいいに決まってんだろ」
『〜〜っ!?』
頭を撫でられた私の顔はというと、ゆでダコのように真っ赤であった。不意打ちすぎて、心の準備など何もなかった私は、嬉しさよりも恥ずかしさが勝ってしまう。幼馴染とはいえ、大好きな人に頭を撫でられるのは何年経っても慣れない。
「小堀。あれは確信犯か?」
「あれは何も考えてないね〜癖でやっちゃったんでしょ。あと森山、凄い形相になってるぞ」
笠松先輩は、周りの部員が見ていることを忘れているのか、気にせずに頭を撫で続ける。
「A?どうした?」
『な、なんでもないでふ...』
「でふ?」
『なんでもないです!ほら、早く着替えて帰りましょう!』
「お、おう?」
笠松先輩は天然すぎる…というか、私たちは割と距離が近い方なので、幼い頃からスキンシップは多い。今回のも昔からの癖で、無意識の内にやってしまったのだろうけど…
とにかくこの場から逃げ出したかった私は、笠松先輩から紙を奪い取る様に受け取り、大急ぎで部室へ向かった。
「アイツどうしたんだ?」
「俺は笠松を許さないからな!」
「はあ!?」
「二人とも早く着替えて帰るぞー」
『かっこよすぎる...本当大好き...!』
部室に入ってドアの前にペタリと座り込んだ私は、真っ赤になっている顔を、誰も見ていないのにも関わらずタオルで必死に覆い隠していた。
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笠松もみじ(プロフ) - ハチ公のままさん» 面白いと言っていただきありがとうございます!そしてわざわざ間違っている所を教えてくださってありがとうございました!射手座と勘違いをしておりました...すぐに訂正させていただきます! (2017年12月30日 11時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公のまま(プロフ) - 話がとても面白いです!しかし、11月は山羊座ではないです… (2017年12月30日 10時) (レス) id: 76036e92ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年9月30日 23時