十五回目 ページ15
最近、森とか山の奥に行くことが多い。伯父の後をついていきながら、裕也はその考えに一人頷いた。
「つーか、本当にこっちなんですか？どんどん奥に行ってるから逆に不安なんだけど。」
「逆になんですか。」
「逆じゃなくて普通にだ。どこに逆説の要素があったんだよ・・・！」
最後の一言はぼそっと一人で呟いた。そしてまた正澄についていく。
それにしても、と空を見上げて思う。冬なのに暑い。冬にしては、ということだが。たしかに寒いのだが、例年にしては暖かいほうだと思う。さらにかなり険しい道のりを長時間歩いているのだ。そりゃあ汗も出てくる。
そして、やはり一番辛そうなのが正澄だ。裕也なんかはすでに軽装で袖もまくっているが、正澄はそれさえもしておらずやはり首に巻いている布も外さない。
「あ・・・。」
裕也の目の前で正澄の体が揺れた。木に手をつき、そのまま膝をつく。
「伯父さん！」
慌てて裕也は駆け寄った。傘を差し、なるべく日が当たらないように調整する。顔を覗き込むと、見ているこっちがぞっとするほど真っ青だった。
「ちょっ、大丈夫！？無理したらダメだろ！美優(みゆう)姉さんが言ってたけど、この間また体調崩したって・・・。」
美優は裕也より一つ上の従姉弟だ。正澄の娘にあたる。裕也と同じく翡翠の瞳だ。
そういえば、前に美優とAが話をしていたのを影から見たことがある。話しかけようとしたが、今にも泣きそうな美優と深刻な顔つきをしたAの様子を見て近寄れなかったのだ。詳しい内容はわからないが、三成と正澄の名が頻繁に出ていた気がする。
「すみません、少し眩暈がしただけです。」
ゆっくりと立ち上がると、正澄はまた歩き出した。迷った末に裕也もまた黙ってついていくことにした。
「今、この時期だからこそ。」
歩きながら正澄が口を開いた。背を向けているため、表情がわからない。
「Aさんの後を継いだ君にだからこそ、話すべきなのでしょう。」
呟くと、正純が刀を抜いた。裕也が唖然とする中で目の前の木を切り倒した。巨木が倒れた先、そこに立つ一本の木。それの上のほうについている赤いものは。
「お、じさん・・・？」
正澄が首もとの布に手をかけた。
「長くなります。君にとってもつらいことでしょうが、君にこそ聞いてほしい。」
ばさりと音を立てて布が外された。
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ななみ(プロフ) - 疾風少女、めっちゃ感動しました〜！何回見ても泣けましたよ(^^♪ 笑えるところもいっぱいでした。頑張ってください(*´∀｀*) (2014年8月29日 10時) (
レス) id: abde43f194 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - 最近忙しくて、なかなか見れずにいましたが、久々に見れました！やっぱりこの作品とても面白いです！更新頑張ってください！ (2014年8月16日 13時) (レス) id: 257169186b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 白鈴さん» すみません、なかなか忙しくて…。応援ありがとうございます！ (2014年5月31日 21時) (レス) id: b7bc56638c (このIDを非表示/違反報告)
白鈴 - (たぶん)はじめまして、白鈴と言います。本編のほうも番外編のほうも、この小説、大好きです！更新、頑張ってください♪応援してます！ (2014年5月8日 19時) (レス) id: c5c1a67bf2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - こちらこそよろしくお願いします。続きを詠めるのを楽しみに待ってます。 (2014年3月3日 21時) (レス) id: 49e70c2b0c (このIDを非表示/違反報告)
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