枯れ木に花。 ページ15
Aside
「それで、私情で始末させたってわけ」
「そうだ」
卑劣で外道にもほどがある。
いくら、失って悲しい思いをしたからって
あり得ない。
「間違ってる」
「知ってるさ」
「私は貴方に、罪を償わせる」
「わかった」
彼は潔く言った。
裏がある。そう思う。が、私が普段思っていたその思いは
今は無かった。
「………」
哀れ。と思った。
それと同時に、父さんを失うんだ。と言う恐怖もあった。
「同じだわ」
「……?」
私も結局は、神と同じ。
「父さんを失いたくない……なんて、貴方と同じ私情を挟んでる」
「……そうだな」
「だから、私は貴方を滅ぼさない」
「え」
神が驚異の声をあげた。そりゃそうでしょうね。
ひどい目に遭わしたのに。
「貴方は神で、腐ってるこの世界を創った者。ならば、変えられるわ」
私は彼に手を差し出す。
「……私と、変えましょう」
「……!」
神は____手を握った。
それから、言う。
「ありがとう」
感謝を彼が、言った。
『早くここから出た方がいい』
子供が、話し掛けてきた。その表情は、ふんわりと柔らかかった。
「……待ってる」
『ああ。早く作ってくれよ』
彼女が言ったのと同時に、世界は___崩壊した。
◆
「………」
目が覚めると、皆は寝ていた。傍に付き添っていて、眠くなって寝たのか。
ジャーファルも私と起きたらしい。
神は……隣にいた。やはり、
父さんの姿で。
「ん」
と、神覇が小さな声を出して、目を開けた。
「!A様……」
「やつれたわね、綺麗な顔が台無しよ」
気持ちや行動を自重している、あの子が、私に抱き着いてきた。
続いて、皆が起きる。菊犂も起きて、抱き着いてきた。
それを微笑ましいと言わんばかりに、ジャーファルが微笑んで、見ていた。
そこで、神が言った。
「A」
「なに?」
「お前を、人間に戻した」
いきなりそのようなことを言った。
思わず目を見開く。
それから、ジャーファルに目を向けた。
ジャーファルは、涙を堪えていた。そんな彼が、久しぶりに可愛いと感じて、
「えっわっ、ちょ!?」
二人を離して、彼を抱き締めた。わたわたと戸惑っていたけど、
やっと大人しくなって、私を抱き締めた。
「嬉しい……」
「……そうですね」
幸せな一時が来た。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ