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5話 ページ7

No side


『ただいま…』


なるべく静かに、タッパーを片手に抱えたAは玄関の扉を開けた。


鍵を閉めて靴を履き替えていると、階段から誰かが降りてくる音が聞こえてきた。


仲直り。

という言葉を変に意識して、落ち着かない様子のAは平常心を保つ事だけに集中してその音に気づきもしなかった。



「あ、姉さん!おかえりなさい!遅かったので心配しました!」


降りてきたのは三男である三郎で、声をかけられたAはびくりと肩を揺らした。


『…ただいま、ごめん。遅くなって。』


三郎の声を聞いたからか、次はリビングからこちらに足音が近づいてきた。



一郎「おいA!バイトは遅くても6時までだって約束したよな!もう7時過ぎてんだぞ!?」


二郎「お前今日も学校サボっただろ!センコーが俺のところに来てうぜぇんだよ!いい加減行けよ!」



予想はしていた。


こんなふうになるのではないかと。


しかし、いちいち自分の事に制限をつけられるのが嫌いなAにとって、イラつきに負けて仲直りなどもうどうでも良くなってしまった。



『いちいちうるっさい!私が何をしようと勝手じゃん!水無瀬さんはそんな事言わない!水無瀬さんなら怒っててもおかえりだけはちゃんと言ってくれるもん!』



タッパーを一郎に押し付けて、Aは自室に入り普段は使っていない鍵を閉めた。


扉を叩いて何かを言う兄たちの言葉を聞きたくなくて、布団を頭から被った。




おかえり。

それだけの言葉でも、ここに私の居場所があると信じられた。


しかし、それが無いと帰る場所が無いのではないかと不安になる自分をAは知っていた。


それだけの事で左右する自分の弱い心がAは大嫌いだった。

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琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時

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