16話 憂鬱 ページ16
「……あれ、Aちゃん！いつの間に来てたの？」
「さつき」
桃井が意外そうに声を上げた。と言っても、私は黒子程周りから認識されない訳ではない。黒子には失礼だけど、「十分以上前からいました」なんて展開になることはなく。
「……ごめん、今さっき来たの。色々準備していたら時間掛かっちゃって」
「そうなんだ。大丈夫だよ、私達も五分前くらいに来たし」
ね、と確認するように桃井は青峰に視線を向ける。青峰は急に話を振られたので一瞬「何が？」と訴えるような目を向けていたが、やがて適当に「ああ、そうだな」と頷いていた。
すると誰かから、不意に「七瀬」と呼ばれた。声のした方を振り返ると、若干ムスッとしている赤司がいた。
「……赤司」
こういう時、まず何て言って会話を始めればいいのだろう。可愛く『おはよう』なんて挨拶をすればいいのか。しかし、私には到底女の子らしく振る舞える自信がない。そもそも赤司と会話をすること自体が久しぶりに感じていた。
「……何？」
結局、ツンとした態度でしか接することが出来ない。私は素直になれない病気なのだろうか。
「遅い。集合時間三分前だぞ」
「良いじゃん、別に。遅れた訳じゃないんだから」
「
「え、初めて聞いたんだけど。そう言うあんたは何分前に来たのさ」
「三十分前だが」
……あんたは遠足が楽しみで一時間も早く来すぎた小学生と同レベルかよ。
思わずそう言いそうになったが、下手なことは言えないので黙る。そして、ふとバス席の件の話を思い出し聞いてみた。
「そう言えば、さつきから何か聞いた？」
「桃井？……特に何も聞いていないが」
何かあるのか？みたいな目で見てきたので何でもない、と適当に返す。桃井がまだ言っていないと言うことは、『くじ引きで席決めよう作戦』は諦めたのだろうか。
いや、その可能性は低そうだ。
「そう言えば、後で話があるから集まって欲しいと言っていたような……」
「それだ」
私は即座に反応した。しかも核心部分を隠したと言うことは、最終的に断れない状況を作るつもりなのだろう。桃井らしいといえばらしい。
……憂鬱だ。
バスに乗る前の時点で既に気をなくしかけている合宿とは一体何なんだろう。
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翡翠(プロフ) - 七奈那さん» コメントありがとうございます！返信が遅くなってしまい本当にごめんなさい！面白いといって頂けてとても嬉しいです。最近忙しくて全く更新できていませんが、早く続きを作るようがんばります！ (2020年3月4日 0時) (
レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
七奈那(プロフ) - いいお話ですね。とても面白いです。早く続きが読みたいです！応援してます。完結するのが楽しみです (2020年2月11日 17時) (レス) id: 98ad0ce5fe (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 花音さん» コメントありがとうございます。この作品を読んでもらえてとても嬉しいです！最近更新できていなくて本当にごめんなさい。私も完結させたいので、また近いうちに更新できるよう頑張ります。引き続きよろしくお願いします。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 作品読ませて頂きました。凄く面白いですね。もう更新なさらないのですか？できれば完結させて欲しいです。待ってます (2019年11月6日 21時) (レス) id: ac5c9fd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 黛夕那(#・∀・#)さん» コメントありがとうございます！読んでもらえてとても嬉しいです！なるべく早く更新できるように頑張りますね！ (2019年9月1日 11時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2018年12月23日 16時
