9話 場違いな兄と隣の彼 ページ10
その後、私が我慢の限界を超え凌介の元へ抱き着きどうなったかと言うと。
「……えっと?」
「ああ、お気になさらず。ホームルーム続けて下さい」
私は、現在指定された席に大人しく座っていた。そんな私の横には、兄の姿が。膝をついてしゃがみ込み、私の背中をただたださすってくれていた。
そんな予想外な光景を恐らく見せられたであろうクラスメイト達の反応は、まさに人それぞれだった。特に視線を集めたのは、勿論私ではなく。
「……え、誰?」
「さあ。お兄さんって言ってなかった?」
「何で教室まで来てるの?」
「わかんない……」
凌介の方だった。
ひそひそと生徒間で囁き声が増していく中で、凌介は一周回って完全に吹っ切れていた。逆に尊敬する。元々こんな目になったのは私のせいだけれど。
恥じらいや抵抗も多少あったようだが、私の場合は全然気にならなかった。むしろ落ち着く。先生も状況を察知してくれたようで、何事もなかったかのように連絡事項を言っていった。
生徒達も、渋々と前を向いていった。
*
凌介は、ふと右を見た。そこには、父から聞いた例の赤い髪の男の子がいた。先程も遠目から見たが、やはり近くで見ると他の生徒よりも落ち着いていて、どこか子供らしくない雰囲気が出ていた。
同じく、彼もこちらを見ている。
「……ねえ」
「!」
凌介は、小声で話し掛けてみた。
彼がそれに気付く。因みにこの時Aは気が動転していた為、全く会話が耳に入っていなかった。
「……はい」
「君、名前は?」
「……赤司征十郎、です」
「赤司君、か」
確か、父さんが言ってた名字と同じだ。凌介は、赤司と名乗る少年に聞く。
「……もしかして、お父さんから転入生の子が何とかみたいな話、聞いたりした?」
「はい、聞きました」
「……そうか」
やはり、と思う。赤髪の子なんてそうそういないし、父が言っていたイメージとも何となく合いそうな気がする。
……頭は良さそうだな。Aの次くらいに。
凌介はそんなことを思った。
この子になら、Aを任せても大丈夫かな。そう思ってもう一度彼を見ると、既に前を向いて先生の話を聞いていた。
───それにしても、何故彼なのだろう。
今更ながらに疑問に思うのだった。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時