124.導きだされた名前 ページ29
店を出ようとしたと同時に聞こえてきた声に身体が止まった
心臓の音が煩い
焦った声色で直ぐ側で急いで走る聞き覚えのある声
一歩、足を踏み出せば直ぐに彼の視界に入れるのに…
次の彼の言葉は今の私には残酷で、胸が締め付けられるように苦しかった
「…Aちゃん」
「ッーー!ぁ、ごめ…っ!目にゴミ入った!」
「Aちゃんッ!…本当に良いの?このままーーっ」
「あー今日の任務、夕方じゃなくて15時に集合だったこと忘れてた…ははっダメだなぁ…んじゃ、ご飯はまた今度ってことで」
「Aちゃんっ!!待…ッ!……イブキくん」
「……Aの事を思ってるんなら放っておくってことも必要じゃねぇの?」
店から勢いよく飛び出すAを追い掛けようとしたツナギの腕を掴み、静かにイブキは制した
今の自分達には何も出来ないと悟るようにーーー
「はぁ…ッ!はぁ、」
あの場から逃げるように走った
走って…走って…
意味もなくただーー
息をすることも忘れて走り続け、脳が酸欠を訴えるまでがむしゃらに逃げ回った
気づけば見知らぬ路地裏に辿り着いた
壁に肩を預けて縮こまる用に座った
「ーーッ、」
どうしてこんな想いをしなきゃいけないんだろう?
止まらない涙が嫌で何度も何度も手で擦ってもただ、目尻が痛くなるだけで涙は止まらなかった
痛い、苦しい…嫌だ、憎らしい
「ーッ!?今…なんてことを…ッ!もう嫌ッ!!」
分からない感情に当てはまる名前にしっくり来たことが嫌になった
ミナトは私にとって大切で、大好きな人
クシナは私にとって大切で、大好きな友
二人は私にとって大切なーーー
「…本当に…大切…なのっ?」
分からない
今のこの締め付ける苦しみが本当に大切だと言う気持ちに対する感情と言えるの?
「……支障、なんかじゃないッ!違…っ、違うッ!」
ナツキさんの言葉が振り返す
この気持ちは支障なんかじゃないっ
私が弱いから…ダメなんだ
こんなんじゃ…っ、ダメなんだ
「…怖い…っ、誰か、たすけて…ッ!」
「ーーーA、?」
「!」
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棗(プロフ) - 桜@symphonyさん» 作ってる本人が言うのもアレですが、私も胸の奥の方がギュッてなってます!(笑)気持ちが共有できて安心しました。そう言ってもらえると書いて本当に良かった!って気持ちになります。ありがとうございます!更新の方も頑張りますね (2017年7月19日 19時) (レス) id: 958addaae7 (このIDを非表示/違反報告)
桜@symphony(プロフ) - 読んでいるうちに胸の奥がぎゅうっとなります。 この微妙な距離感好きです笑 更新頑張ってください! このお話好きなんですっ!! (2017年7月18日 23時) (レス) id: 7086530ca0 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ミナト大好きさん» 作者スペースまで読んでいただき、ありがとうございます!はいっ!これからも頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします (2017年7月14日 22時) (レス) id: 958addaae7 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト大好き - コメント失礼します初めてイラスト観ましたカッコイイですこれからも最後まで更新頑張って下さい! (2017年7月13日 23時) (レス) id: 54870f527d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2017年6月25日 1時