125.居場所と涙 ページ30
「こんな所で会う……何かあったのか?」
「シカク……たすけて…っ私、自分が嫌になる…ッ!!」
「…とりあえず、落ち着け…えっと、あった」
「…いらない」
「良いから飲め!落ち着くから…」
シカクに渡された水を受け取り口に含んだ
少しずつ涙が止まっていくような気がした
その間ずっとシカクは黙って隣に座って待っててくれた
「…落ち着いたか?」
「…うん、なしてシカクがこんな所に居んのさ?」
「買い出し頼まれてな…んで、此処の道がオレん家まで行くのに近道なんだよ」
「ははっ、シカクでもパシられるんだ!意外」
「母ちゃんがうるせーんだよ…つかお前はどうしたんだよ」
「…ちょっと、ね」
暫くして涙も止まり落ち着いた
シカクがパシられてると知ると可笑しくって気づけば笑っていた
「…ミナトか?」
「むー!なして毎回シカクは私の心読めんの?」
「お前が分かりやすいからだよバーカ!」
「そんな、ことは……多分ない」
「多分かよ……お前が悩むっつたらミナトぐらいしかないだろ?」
「失礼な!…そうだけど」
いつも狙い済ましたかのように的確に答えを引き出すシカクに言葉がでない
私だってミナト以外のことで悩む
けど、大抵は長続きしない悩みだったりする
「……最近、ね…ミナトとクシナを見てると此処がモヤモヤしてたのが、ドロドロに変わっちゃって…それが苦しいの」
「…ん、」
「最初は気のせいだと思ってたけど…全然で…っ!ミナトの中に私が居なくなっちゃったのかな?って考えただけで涙が止まんなくなって…気づいたら二人のこと」
「憎らしい、って思えてきた事が怖いの…っ!」
シカクに自分の気持ちを伝えてる間も溢れ出しそうになる涙を堪えた
シカクはポツポツと言葉を繋ぐ私の言葉をゆっくり聞いてくれて、それが安心できた
こんな弱い私を黙って受け入れてくれるみたいで
口にすればするぼと実感する現実に胸の奥がとても痛い
「まぁ、最近のミナトを見てるとオレも変だと思うこともあったけど…アイツって根っからの思いやりの塊みたいなモンだろ?」
「…ん、知ってる」
「けどさ…」
「?」
「こんなに泣いてくれるほど好きで居てくれるヤツが居るのに…さ、ミナトが段々オレも憎いって思えてきた」
「……シカク、っ?」
「なぁ、A…そんなに泣くほど辛いならーー」
「お前の中のミナトの居場所…オレに変えねぇか?」
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棗(プロフ) - 桜@symphonyさん» 作ってる本人が言うのもアレですが、私も胸の奥の方がギュッてなってます!(笑)気持ちが共有できて安心しました。そう言ってもらえると書いて本当に良かった!って気持ちになります。ありがとうございます!更新の方も頑張りますね (2017年7月19日 19時) (レス) id: 958addaae7 (このIDを非表示/違反報告)
桜@symphony(プロフ) - 読んでいるうちに胸の奥がぎゅうっとなります。 この微妙な距離感好きです笑 更新頑張ってください! このお話好きなんですっ!! (2017年7月18日 23時) (レス) id: 7086530ca0 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ミナト大好きさん» 作者スペースまで読んでいただき、ありがとうございます!はいっ!これからも頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします (2017年7月14日 22時) (レス) id: 958addaae7 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト大好き - コメント失礼します初めてイラスト観ましたカッコイイですこれからも最後まで更新頑張って下さい! (2017年7月13日 23時) (レス) id: 54870f527d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2017年6月25日 1時