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愛する ページ1
好きだった。
彼のことが好きでたまらなくて、毎日目で追っていた。
告白して付き合って、手も繋いだ。キスだってした。
私達の赤い糸は繋がっていて、これからもずっとそうで、一生切れることはないのだと。
そう思っていた。
けれど、それは間違っていた。
「零…」
うわ言のように口から飛び出た彼の名前。
彼は変わってしまって、私は何もできなくて。
彼より一つ年下だった筈の私は、彼と同じ学年になって。
段々メールや電話の回数も減っていって。
彼が年下っぽい女の子と楽しそうに笑っているのも目撃した。
耳から離れなかった彼の声も、
瞼の裏側に焼き付いていた彼の顔も鮮明ではなくなった。
終わりなんだと理解していても、
胸が苦しかった。
「A」
そう呼んでくれたのも。
二人して頬を染めながら手を繋いだのも。
貪るみたいにキスをしたのも。
嘘じゃないってことはわかっていた。
だから、私は未練がましく、
終わっていたことに気付かないふりをしていた。
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作者名:都空 | 作成日時:2017年4月6日 17時