君は私の一等星 No8

287　気まずい空気 ページ26

明日人「A！おはよう！」

『おはよう、明日人』

次の日の朝。

身支度を整えて食堂に向かっていると、元気な声で挨拶をされ、振り向く。

太陽のように明るい笑顔を浮かべ、大きく手を振っている明日人の姿があった。

明日人「食堂まで一緒に行こう！」

『うん』

私は明日人と並んで、食堂に向かう。

明日人「次はアメリカ戦か〜！楽しみだな！」

『そうだね。ちゃんと試合ができるといいんだけど……』

朝から機嫌がいい明日人は、ニコニコと笑ってそう口にする。

一方、私は昨日のこともあり、情緒不安定な感じだった。

野坂「おはよう。Aちゃん、明日人くん」

食堂に着くと、野坂くんがこちらに向かってきて挨拶をする。

明日人「おはよう野坂！」

『野坂くん、おはよう』

私と明日人も、野坂くんに挨拶を返す。

野坂「おや、珍しいね」

明日人「なにが？」

私も質問の意図がわからず、首をかしげる。

野坂「今日は一星くんと一緒じゃないんだね」

明日人「あ！そういえばそうだな！」

手をぽん、と叩き、明日人も思い出したような表情をする。

野坂「Aちゃん」

『な、なに？』

いきなり名前を呼ばれ、私は戸惑いながらも質問する。

野坂「気のせいだと思うけど……目、腫れてないかい？」

『え？うそ！？』

昨日の夜、あれだけ泣いたのだ。

目が腫れているのも無理はない。

だけど、泣いていたとは言いたくなかった。

『き、気のせいよ！うん、気のせい気のせい！』

明日人「あ、A！」

私は無理矢理話を終わらせると、明日人が呼び止めるのも聞かずに、朝食をもらいに行く。

今はあまり誰とも関わりたくなかったため、私は一番端っこの席に座って、朝食を食べ始めた。

なにかあったのか、とでも言いたげに、みんなは私を遠巻きに見ている。

私は気にせずに食事を続ける。と、

「あの……」

控えめに声をかけられ、顔を上げる。

『あ………』

声の主は、光くんだった。

少し気まずそうな表情をしながら、光くんは私に言った。

光「隣……いい、ですか？」

『……うん、いいよ』

それからしばらく、沈黙する。

『………』

光「………」

みんなは私達の様子をちらちらと伺いながら、朝食をとっている。

『……光くん』

光「は、はい。なんですか？」

唐突に話しかけたことにより、光くんは少し驚いたように声をあげた。

『あの……昨日はありがとうね』

光「へ？」

私の言葉に、光くんは目をパチパチと瞬かせた。

288　一つの嘘→←286　失いたくない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す